映画業界が苦境に立たされている。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、各映画会社は続々と予定されていた作品の公開を延期。4月7日に政府が緊急事態宣言を発令し、映画館は休業要請対象の職種に含まれた。
「当初は発令された1都6県の休業にとどまっていましたが、緊急事態宣言の対象が全国に拡大。5月6日まで、全国各地の映画館は休業せざるを得ない事態に直面してしまいました」(映画関係者)
日本映画製作者連盟(映連)の新年記者発表が1月28日に行われ、昨年の全国映画概況が発表されている。それによると、昨年の年間興行収入は2,611億8,000万円で前年比114.4%。16年の興収2,355億円を大幅に上回り、2000年の興収発表以降で最高の数字を記録。興収10億円以上の作品は40本に上っていた。
「いっぽう、今年の公開作品で10億円を突破したのは米・アカデミー賞を受賞した韓国映画『パラサイト』『カイジ ファイナルゲーム』『CATS キャッツ』など10本にも達していません。にもかかわらず、いつになったら映画館を再開できるかの見通しは立たない状況。年間興行収入が過去最低の水準にまで落ち込むことは避けられないでしょう」(前出・映画関係者)
そこで気になるのが、本年度の作品を対象にした各映画賞だ。3月6日開催の「第43回日本アカデミー賞授賞式」は一般観覧を取りやめ、規模を縮小。受賞者と最小限の関係者だけが出席し、報道陣も呼ばずに行われた。
「もし映画館の再開が夏以降にずれ込むようなことがあれば、選考対象となる目玉作品が揃わなくなってしまいます。そのため、『このままだと今年の映画賞は中止になるのでは……』と危惧する声も上がっています」(映画担当記者)