それは’16年8月、ラジオのレギュラー番組で花江が結婚報告した時のこと。きっかけの一つについて「今まではぐらかしていたんですけど」と前置きしたうえで、こう語った。
《実は僕、両親を2人とも亡くしていまして。一緒に住んでいたおばあちゃんもこの前亡くなってしまって。すごく家族がいない状態だったんで、やっぱり家族がほしいなって思うようになって……》
涙ながらに“家族喪失”の過去を告白した花江。苦悩しながら活動していたようだ。
「花江さんが小さいころにお父さんは亡くなり、以来、お母さんが女手一つで育ててきたそうです。お母さんが亡くなったのは事務所に所属したあとのようですが、具体的な時期や死因を公表していません。“声だけで勝負したい”という花江さんの考えのようです」(前出・アニメ制作関係者)
シングルマザーとして花江を育てただけでなく、声優になる後押しをしたのも母親だった。花江はインタビューでこう語っている。
《(声優になるためには)養成所や専門学校に行かないといけないとのことだったんですけど、経済的にそんな余裕もなかったから、お金をかけないで声優になれる方法を探し始めました。そしたら母親が「事務所に直接メールを送ってみようか」と》(’16年1月5日『ライブドアニュース特集』)
両親の死を胸に秘めながら、声優としてがむしゃらに奮闘して末についに炭治郎と出会った花江。そこに花江と炭治郎の“共通点”があると語るのは別のアニメ関係者。
「8年前にSNSで異母きょうだいがいることを明かした花江さんですが、昨年のインタビューでは『自分は一人っ子です』と語っています。兄弟と仲はいいそうですが、複雑な思いもあるのでしょう。
花江さんは鬼滅のオーディションを受けた当初、炭治郎ではなく別のキャラクターのほうが自分の声に合っていると思っていたそうです。それでも炭治郎役に選ばれたのは、両親を亡くした炭治郎の“哀しみ”を花江さんなら演じ切れると制作サイドも判断したからなのではないでしょうか」
悲しみを乗り越えて、日本を代表する声優となった花江。すでに次なるステージに向けて動き始めている。
「今回の記録的ヒットを受けて、すでに、鬼滅の新作アニメの放映も決まっているそうです。花江さんには声優業だけでなくナレーターの仕事なども殺到しているそうで、ますます忙しくなっていくでしょう」(広告代理店関係者)
天国で見守る両親に花江の“声”はこれからも届き続ける――。
「女性自身」2020年11月10日号 掲載