「現場での彼は、生き生きと伸び伸びとしているんです。スクリーンのなかでも現場でも。事前に非常に繊細な方だとも伺っていたんですけれども、明るかったです」
今年7月に亡くなった三浦春馬さん(享年30)との思い出を語ってくれたのは映画監督の田中光敏氏(62)。メガホンをとった12月11日公開の映画『天外者』は、春馬さんの“最後の主演映画”となった。
春馬さんが演じたのは、幕末から明治初期を駆け抜けた傑物・五代友厚。撮影は、昨年10月から11月にかけて行われた。
三浦翔平(32)、西川貴教(50)、森永悠希(24)、森川葵(25)、蓮佛美沙子(29)ら、共演者たちにも気配りを見せていたという。
「現場は、笑いもあって、すごく楽しかったんです。僕が春馬くんをすごいなと思うのは、自分のシーンじゃなくても、モニター横で見たりしていて、“いまの芝居、よかったね”と同僚や若い役者たちに声をかけるんです。優しいですよね。そういうことで現場の士気があがっていくというか。素晴らしい座長だったと思います。
この人はこんなに完璧でいいんだろうかと思って、一度、聞いてみたことがあるんです。撮影の最後のほうの時期にマネージャーさんも含めて焼き肉店に行ったときのことです。“どうしてそんなにまっすぐなの? こんなに長く芸能界にいるのに”と。そうしたら“いやぁ、そんなことないっすよ。僕もいろいろあったりもしますし、そんなあれじゃないですよ”なんて答えていましたけどね」