書籍も出しているし子どももいるし、易々と離婚するわけにはいかない。そういう判断もわかります。
しかし金子氏は、もしかしたら4年前の尾を引きずりながら許そうともがいているのかもしれません。その場合、おせっかいながら心配になることが1つあります。それは感情を無理に処理して整理すると、根本的な解決にならないどころか、時間がたった後に大きな問題にもなりかねないということです。
その理由は、感情の仕組みにあります。
そもそも、感情には時間という概念がありません。過去に受けた何かしらの恐怖や怒りの体験がその後の似たような条件下でフラッシュバックすることもあるように、感情は時間がたっても勝手に消化されないのです。
その結果として、問題に何年も囚われるように。また、同じような問題に拒否反応を強く示すようになったりします。
この未消化の感情は、「仕方のないこと」「もう過去のこと」と頭で整理をしても納得をしてくれないことがほとんどです。なぜなら本来、感情と思考は全く別のもの。なので今回のように何か大きな問題に向き合い、そして許すためにはまず自分の「許せない気持ち」をきちんと受け入れてしまったほうが早いのです。
こういった問題は時間が経つにつれ、大事になって戻ってくることもよくあります。その1つが不倫を無理に状況だけ解決させた結果、妻と夫に加害者と被害者といった上下関係が発生。家庭内に嫌な空気が漂うというケースです。
その結果、夫はまた家庭外に逃げ場を求めるように。最悪の場合、それを肌で感じた子どもが恋愛や結婚に対して良くない概念を持ってしまったりする話も耳にします。
このように無理して感情を押し殺して物理的な行動で許していくことは、自分だけでなく相手や家族にも良くない影響を与えてしまう可能性があります。
金子氏と宮崎氏の関係が現在どうかはわかりません。ただ徹底的に許せない自分をさらけ出していくとろから、本当の「許すチカラ」は発動されるように思います。
そもそも不倫という行為の本質は、パートナーシップに対する「信頼への逃げ」が1つあります。
抱えた欲求(性欲や承認欲求だけではない)を本当は目の前のパートナーと分かち合い、満たし合わなくてはいけないもの。なのに怖さや面倒臭さから、手っ取り早く別のものに逃げてしまう。これが不倫など不貞行為の仕組みの1つです。
離婚はしないと決めた金子氏。自著に書かれていた“彼女が本当に実現したい夢”へと向かえることを願いつつ、それよりまず自分自身も許せることをいちばんに願うばかりです。
(文:おおしまりえ)