また碓井氏は「罰を怖がりすぎて、重大な罪を犯してしまうこともあります」として、こう続ける。
「たとえば、プロの泥棒は抵抗しないのであっさり捕まります。いっぽうで素人の泥棒は逮捕されることを恐れ、逃げるときに人を押しのけたり刃物で傷つけたりします。人を傷つけると強盗になり、より重罪になってしまうのにもかかわらずです。
つまり『なんとかして逃げねば』という気持ちから、かえって大きな犯罪を起こしてしまうのです。著名人のひき逃げも、こうした心理が働いているのでしょう」
助けることが大事だとわかっていても、今後の仕事への影響を懸念。そしてパニックになり、事故現場を立ち去ってしまう。こうして著名人のひき逃げは繰り返されているというのだ。
では、ひき逃げを防ぐためにできることはないのだろうか。碓井氏はこう語る。
「所属事務所は、日ごろから所属タレントに“事故を起こしたときのシュミレーション”をさせておくべきだと思います。普段から“車を運転すれば人身事故を起こすかもしれない”と想像させることが大事で、さらに“事故を起こしたらどうすればいいか”と連想させることも重要です。
また『トラブルを起こしたら、事務所やマネージャーにすぐ連絡するように』と伝えておくのも手段の一つでしょう。つまり“こういうときはこういうふうにしよう”と、すべき行動を共有することが大切です。すると事故を起こしてパニックになっても、逃げ出すことは避けられるのではないでしょうか」
他者の命に関わる人身事故。どんな事故でも保身に走らないよう、誠意をもって対応することを願うばかりだ。