映画を見に劇場には多くの人が(写真:アフロ) 画像を見る

記録を次々と塗り替え、2020年を代表する映画となった「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」。しかし、そんな「鬼滅」にある“物言い”がついている。

 

12月19~20日の2日間で約28万人を動員し、公開から10週連続で1位を獲得した本作(興行通信社調べ)。累計では動員2,317万人、興収は311億円を突破した。

 

日本の歴代興行収入1位は、01年に公開されたスタジオジブリ制作「千と千尋の神隠し」(宮崎駿監督)。先日、コロナ禍によるリバイバル上映分の興収を加算し308億円から316億円に上方修正していた。しかし全く勢いが衰える様子のない「鬼滅」が「千と千尋」の記録を更新するのは、ほぼ確実だ。

 

正式発表前ではあるが、SNS上ではすでにちょっとしたお祭り騒ぎに。《煉獄さん317億2千万の男おめでとうございます》《鬼滅の刃ついに歴代1位か? 今後この作品を抜く新たな作品は出て来るのかな》と祝福するファンの声で埋め尽くされている。

 

しかし、いっぽうで「千と千尋」ファンの心中は穏やかではなかったようだ。「鬼滅」の歴代1位が確実視されると、SNS上ではこんな声が相次いだ。

 

《鬼滅の刃が勝ったら普通に恥ずかしいよな 千と千尋の神隠しは後世に残すべき名作だけど鬼滅の刃は今人気で面白いアニメの映画なだけであってしかもアニメの続きみたいなものだし これからの未来興行収入1位でこれが紹介されるとなるとゾッとする》
《千と千尋は日本の誇り 誰もが名作だと認めると思う 約20年間興行収入1位を貫いただけある 鬼滅もいずれ日本を代表する作品となるだろうか?》
《面白くない訳では無いけど、特典商法の鬼滅と千と千尋、タイタニックなどの名作を比較しないで欲しい。 あれは本当に胸糞悪い》

 

公開1カ月後の11月中旬から、2週置きに変わるイラストカードや特別冊子といった入場者特典を配布している「鬼滅」。また劇場版のストーリーも、原作漫画を忠実に再現したものだ。

 

「千と千尋」の一部ファンからすると、01年公開当時にそうした“特典商法”に頼らず、完全オリジナルストーリーで歴代1位を獲得した「千と千尋」の方が「鬼滅」より“名作”だというのだ。

 

一部の「千と千尋」ファンで広がりを見せている“「鬼滅」と「千と千尋」どっちが名作”論争。しかし、こんななかにはこんな冷静な意見も。

 

《鬼滅が良いと思う人も、千と千尋が良いと思う人も、興行収入がどっちが上だろうが自分で名作と思うのならそれでいいじゃない》
《鬼滅興行収入1位って記事見て、普通におお! すごい~! て思ったけど、千と千尋の方が名作とか特典のおかげじゃんとか、やんや言っている人多くてなんか悲しくなった…。他の作品の粗探し(?)しなくても自分の一番の名作はこれって思えばいいのに》

 

作品そのものの価値と興行収入は分けて考えたほうがよさそうだ――。

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