28日、「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の公開11週までの興行収入が発表され、324億円を超えたことが判明。これによって、日本の映画歴代興行収入1位の座を19年ぶりに更新することとなった。
興収100億円を超えたあたりからSNS上を中心に“煉獄さんを300億の男に!”といったムーブメントが巻き起こった同作。公開からわずか73日間での記録更新には、《煉獄さんおめでとう!》といった歓喜するファンの声が相次いでいる。
いっぽう1位を明け渡す形となった01年公開の映画「千と千尋の神隠し」ファンからは、「鬼滅」を称えつつも悲しむような声が。
《千と千尋の神隠し抜かれちゃったな 好きだから残念》
《千と千尋、残念な事に鬼滅に抜かれたかー! 記録は抜かれるモノだからなぁ。千と千尋の神隠しが好きな私としては残念。》
果たして、作品に携わった当事者たちは今、何を思うのか――。同作の宮崎駿監督(79)は11月、鬼滅との興収争いについてこう語っていた。
「まあ、僕には関係ないことだと思います。興行成績がどうのこうのということには、あまり関係しないほうが、現場は平和でいいんです。一生懸命作っていりゃあいいんで」(『FLASH』20年11月24日号)
その後も「そんなことは、どうでもいいよ。世界はいつもインフレになっているんですから」と終始、興収争いに我関せずのスタンスを貫いた宮崎監督。
いっぽう、数々のスタジオジブリ作品で宮崎監督とタッグを組んできたプロデューサーの鈴木敏夫氏(72)は、まだ「鬼滅」については語っていない。しかし、かつて映画「君の名は」(新海誠監督)が「千と千尋」に迫る勢いを見せた際、興収争いへの“価値観”を表明していた。
「週刊文春」17年2月2日号のインタビューで、「君の名は」の1位奪取の可能性について聞かれた鈴木氏は《そういう日がきても悔しいとは思わないかな》としたうえで、こう語っている。
「記録を作るのは愉快だけど、いつも抜かれると思っているし、抜いた方が面白いんじゃないかなって思いますよ」
興収争いに熱狂しているのは当事者ではなく、もしかしたら我々なのかもしれない――。