■前半の大テーマは特に「男性の生きづらさ」なのではないか
本作前半ではみくりが妊娠し、事実婚から法律婚に切り替えた2人の親になっていく姿が描かれています。そのとき、個人的にすごく感じたものがありました。それは、このドラマのテーマの1つが「男性の生きづらさ」なのではないかという点です。
本作ではさまざまな社会問題が提議され、観る人の立場によって共感や学びに差がある作品です。そんななかでも平匡さんを介して表現される男性像の当たり前とそれによる苦痛、そしてアップデートがおこなわれていたように感じました。
たとえば本作序盤では妊娠順番ルールについて触れていますが、途中から男性の育休問題について大きく扱われています。またみくりが妊娠中、つわりやホルモンバランスの変化によって体調不良や情緒不安定になるシーンもリアルに描かれていますが、それと同じくらい平匡さん側の頑張りきれないもどかしさや限界感も描かれている。
生まれた後は「大黒柱である男性が家庭を支える」という古い時代にあった当たり前の価値観について、真正面から疑問が呈されるシーンもありました。
ドラマのテーマとして見たとき、ここまで男性性の問題を真正面から取り上げたものは、実は今まであまりなかったように思います。
4年前は専業主婦の労働問題や女性が抱える「呪い」についてなど、女性の生きづらさについてスポットが当たることが多かった印象の本ドラマ。4年の歳月を経て「本当の意味での平等」のために、男性側にスポットを当てているように私には見えました。