■限りなく黒に近いグレーな案件はたくさん眠っている
一度、知名度を得た元アイドルは、一般企業への就職やアルバイトを躊躇う傾向にあるという。別の芸能関係者が話す。
「プライドが高くなってしまい、地道な仕事をしようと思えなくなる。ファンと旅行や食事会をすれば、結構なお金が入ってきますからね。
その会費は、ファン以外が聞けば、べらぼうに高いと感じます。でも、ファンにとっては憧れの人と触れ合えるし、仲良くなれる絶好の機会なので、惜しみなくお金を注ぎ込む。ある意味、需要と供給が一致しています。
でも、周りから見れば特殊な世界で、元アイドルは一般の感覚からますます離れていきます」
ファンを集めるイベントだけで生活が成り立てば、問題はないだろう。しかし、何度も開催されれば、慣れが生じて毎回参加するような人たちは減っていく。
中には、高額な料金に疑問を持ち始め、離れていく場合もある。すると、ブラック企業と手を組み始める元アイドルもいるという。
「社会には、有名人を利用しようとする人たちが必ずいます。企業は広告塔として、彼らを雇う。その時、“アイドル”という職業は使えるんです。一部のアイドルファンには、ひたすら一途に信じ込むタイプの人たちもいます。アイドルが“明らかな黒”を“白”だといっても、信じてしまうこともありえるのです。
企業としては、ファンの母数が少なくても、高額商品なら数個売れるだけで潤うし、元アイドルもマージンをもらえる。良心があれば、罪悪感を覚えるでしょう。しかし、他に稼ぐ手段がない上に、アルバイトもしたくないので、“楽に金を稼ぐ方法”に走ってしまう元アイドルも存在するのは事実。
詐欺罪としては成立しなくても、限りなく黒に近いグレーな案件はたくさん眠っていると思います」
AKB48の成功によって、大人数のアイドルグループが複数生まれたが、芸能界で生き残れるタレントは一握り。山田容疑者と同じような悲劇が起こらないことを祈るばかりだ。