浜辺美波 元タカラジェンヌ恩師語る片道5時間の下積み時代
画像を見る 貴重なデビュー初期の浜辺

 

■平日は小学生、土日は女優…片道5時間の下積み時代

 

そんな浜辺は、レッスンでは常に全力だった。

 

「早口言葉を1つ考えてくるという課題を出すと、ほとんどの子は『カエルぴょこぴょこ』など誰もが耳にしたものを選んできます。でも、美波ちゃんは、プロを目指す人が滑舌練習で行うような、長くて複雑な早口言葉を用意してきたので驚きました」

 

デビュー後は、東京と石川を行き来する多忙な生活だった。

 

「平日はしっかり小学生として学び、土日は東京でドラマや撮影の仕事。北陸新幹線がない時代なので電車なら片道約5時間です。疲れてフラフラでも、自分の選んだ道だと頑張っていました。レッスンにはいつもご家族全員でお迎えにいらしている姿を拝見し、ご家族の支えは大きかったのではと感じていました」

 

そんな浜辺が憧れるのは意外にも銀幕の女優・原節子だという。古きよきを尊ぶ感覚には、“宝塚の精神”も影響を与えたはずだ。

 

「私は自分が美波ちゃんを育てたとか恩師だとは思っていません。私が教えられるのは、宝塚で培った『清く 正しく 美しく』の心です。自分に正直になって稽古を積めば舞台は裏切りません。堂々と舞台に立つには人一倍の努力が必要でした。美波ちゃんも、習い事感覚ではなく、毎回課題を見つけ、全てを次につなげようとしていました。当時は、そんな美波ちゃんが、宝塚時代の自分と重なって見えました」

 

故郷で出会った恩師の教えは、今も生かされているに違いない。

 

「女性自身」2021年4月27日号 掲載

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