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住んでいた場所は違っても、年齢が近ければ「そうそう! わかる」って盛り上がれるのが、青春時代にみんながこぞって読んでいた本の話。同世代の女性と一緒に、“あのころ”を振り返ってみましょうーー。

 

「’65年から本格的に参戦したベトナム戦争、’70年代に2度発生したオイルショックなどで、アメリカの社会や経済は失速していました。ゆえに、レーガン政権(’81〜’89年)は豊かで強いアメリカを取り戻そうと、自国の商材や文化を世界へ積極的に発信したのです。日本でもバブル期にはディスコやサーフィンがはやり、トレンディドラマでは、人気女優がラルフローレンを着こなしました。なかでも、若者に多大な影響を及ぼしたのが、ハリウッド映画です」

 

そう語るのは、トレンド評論家の牛窪恵さん(53)。

 

’70年代は『スター・ウォーズ』シリーズ(’78年〜)など宇宙や未来をテーマにしたSF作品が多かったハリウッド映画だが、’80年代に入ると、『インディ・ジョーンズ』シリーズ(’81年〜)といったアクション映画、『愛と青春の旅立ち』(’82年)のような恋愛映画が台頭。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(’85年)はSF、アクション、恋愛の3要素が盛り込まれたハイブリッド作品といえる。

 

「インターネットが普及していなかった時代、ハリウッド映画は流行の発信源となり、日本人の生活スタイルに変化をもたらしました」

 

「80年代の流行の発信源はハリウッド映画だった」と専門家
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たとえば、『E.T.』(’82年)で宅配ピザのシーンが映し出されたことをきっかけに、ある日本企業は宅配ピザのビジネスに参入、全国でチェーン展開を始めたほど。

 

「『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の主人公はスケートボードの名人で、巧みに乗りこなしますが、その後、日本でもスケートボードが大ヒットしました。『カクテル』(’89年)公開時には、カクテルを作る道具一式が売れ、『ハスラー2』(’86年)を見た若者たちの間でビリヤードがはやり、プールバーが乱立したほどです」

 

当然、日本企業もハリウッド俳優に目をつけた。

 

「マイケル・J・フォックスがホンダ『インテグラ』のCMに出演(’89年)した際の“カッコインテグラ”というセリフは印象に残っている人も多いと思います」

 

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を代表とするハリウッド映画で描かれる大きな家、かっこいい車、おしゃれなダイナー、プロム(高校の卒業パーティ)の華やかさは、当時の日本の若者たちにとって、憧れの世界だった。

 

「’80年代後半から始まったトレンディドラマや、『私をスキーに連れてって』(’87年)など“ホイチョイ三部作”と呼ばれる映画にも、大きな影響を与えたといえます。バブル期にアメリカナイズされた文化が席巻した背景には、ハリウッド映画の力があるのです」

 

「女性自身」2021年4月27日号 掲載

マーケティングライター、世代・トレンド評論家

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