住んでいた場所は違っても、年齢が近ければ「そうそう! わかる」って盛り上がれるのが、青春時代に心を奪われたアイドルの話。活躍する同世代の女性と一緒に、‘80年代を振り返ってみましょう――。
「少年隊が『仮面舞踏会』でデビューしたとき、3人ともバク転、バク宙ができ、マイクを投げてキャッチをするなど、今のキンプリ(King&Prince)の源流ともなるアクロバティックなパフォーマンスが圧巻でした」
そう話すのは世代・トレンド評論家の牛窪恵さん(53)。錦織一清(ニッキ)、東山紀之(ヒガシ)、植草克秀(カッちゃん)の3人のキャラが、絶妙な組み合わせだったという。
「ヒガシは冷静であまりしゃべらない王子様キャラ。踊りもシャープで、A型らしい真面目でストイックなタイプに見えます。カッちゃんはいじられキャラで、少し抜けたところが魅力。レーシングカートが趣味という男性的な部分もあり、ダンスはシャープなヒガシと対照的に、力強い。リーダーのニッキは器用で、つっこみもうまい。演技力も評価されており、テレビドラマの出演も多数ありますよね」
ライブでは曲の合間のトークも評価が高かったという。
「さだまさしさんや谷村新司さんのトーク力は有名ですが、10分以上もの間、観客を楽しませられるアイドルは貴重な存在でした。ファンの方々いわく、トークにも毎回、黄金パターンのようなものがあり、そこだけでも見る価値があったといいます」
舞台で映えるのは、少年隊が早い時期からミュージカルで経験を積んでいたからでもあるだろう。
「ミュージカル『PLAYZONE』(プレゾン)はデビュー翌年の’86年に始まり、毎年夏に30から50公演も行われていました。’07年夏には900公演を超え、’09年にジャニーズの後輩に引き継がれたのです」
もちろん、歌のほうでも『デカメロン伝説』(’86年)、『ダイヤモンド・アイズ』(’86年)とヒットを連発。デビュー3年目の’87年、『君だけに』で、さらに新たな魅力が引き出されたという。
「3人が向かい合い、指を鳴らしてリズムをとる導入部が印象的で、大人の男性を前面に出した“聴かせるバラード”。歌詞も大人向けの内容で、アイドルファンの年齢層をグッと上まで広げました」
’80年代後期には、ヒガシが“しょうゆ顔”の代名詞に。
「サーフィンブームもあり、日焼け肌も多く力強い印象の“ソース顔”が人気でしたが、時代の移り変わりとともに、ヒガシのようなシュッとしたあっさり顔が注目を集めるようになりました。海外からも“ジャパンビューティ”と評されるようになったのです」