■背景にはSNSの急激な発達が関係
人気ドラマで共演した俳優たちがCMで再共演するパターンが増加する背景には、どんな意味が込められているのだろうか?その背景についてCM総合研究所に取材を申し込むと、広報部を通じて回答があった。
同研究所によると「この傾向は今年に限ったものではない」としつつ、SNSの発達ともに増えていると指摘する。
「ここ10数年でスマホが普及したとともに、TwitterをはじめとするSNSが急激に発達しました。そのため話題が拡散しやすい情報環境が背景にあると思われます」(以降、カッコ内は全てCM総合研究所広報部)
’18年度後期のNHK連続テレビ小説『まんぷく』で主人公の母・今井鈴を演じた松坂慶子(69)は、ドラマ終了から2カ月後に日清食品の袋麺シリーズ「愛されて三世代」篇のCMで祖母役に抜擢。「まんぷく」で鈴の孫を演じた深川麻衣(30)や二宮輝生(14)らと再共演を果たした。
さらに珍しい例では、’20年10月期の『共演NG』(テレビ東京系)で“異例”となる競合スポンサーの共演が実現。ドラマのストーリーに沿った“テレビ業界のタブー”を逆手に取り、キリンビールとサントリー2社が同時にクレジットされたのだ。さらに最終回の放送日には、両社ともTwitterの公式アカウントで《アノ企業と、乾杯~!!》と呟いたことも大きな話題となった。
そこには人気ドラマの影響力を上手に活用したいという企業の戦略が見え隠れしている。
「人気ドラマに出演した複数のタレントがCMで再共演する、あるいはドラマを連想させる役柄でCMに登場すると、ドラマやタレントのファンに強い印象を与え注目度が高まりやすくなります。またCMの露出にとどまらず、情報番組などでも取り上げられるチャンスが多くなります。
タレントだけでなく広告に対してもドラマファンの視聴者に好印象を与える可能性が高く、非常に有効な宣伝方法のひとつとして捉えているのではないでしょうか」
SNSでの話題性を狙った企業のテレビCM。果たして、ドラマを超えて共演する次の俳優は――。