■「一見元気なので、周囲からはうつ状態と気づかれにくい」
心療内科「岡田クリニック」の岡田尊司院長はマツコの言葉から「仮面うつ」の可能性を指摘する。
「『うつ』状態は明らかに周りから見ても落ち込んでいて、行動や感情が停滞します。ただ、『仮面うつ』の人は、外では元気に振る舞いながらも、家に帰ると何もできなくなってしまうのです。一見元気ですから周囲からは『うつ』状態と気づかれづらい。マツコさんの場合は片付けという実行機能が低下しているのかもしれません」
そんなマツコの、目下の支えは90歳になる父親だという。冒頭の『怒り新党』でこう漏らしている。
「今90歳の父親がもしいなくなったら、さらにタガが外れて自分は体重が500キロぐらいになって部屋で動けなくなっているかも」
そこまで老父を思う理由は、彼がマツコのセクシュアリティを受け入れたことが大きいようだ。マツコは’13年7月、『朝日新聞』のインタビューで、父から戦争の体験談を聞かされていたといい、
《隣で人が火だるまになって死んでるような時代を生きた人なら、子どもが女装してメディアに出たって、『まあ、とりあえず生きてるし』って動じないよなって》
《それにはすごく感謝してるわね。あの親じゃなかったら、今の私はなかったから》
と述べている。親子カウンセラーの横山真香さんは、
「一人っ子のマツコさんは母親を亡くしたことで、幼少期から自分を知る“真の理解者”が父親だけになってしまった」と語る。