■「人を育てなくなったテレビ局」はどうなっていくのか
こうしたアナウンサー採用の新たなトレンドを見ていると、「芸能人発掘の流れ」と通じるものを感じます。
近年、テレビ業界ではネットの影響力を大いに意識しています。そのため、ネットで話題の人を積極的に呼び込むようになってきました。
たとえば今では誰しも知っているタレントのフワちゃん(28)。彼女はもともと芸能事務所に所属こそしていましたが、人気のキッカケはYouTubeでした。
そのほかにも彼女のような大ブレイクを夢見て、多くのインフルエンサーやユーチューバーがテレビ進出を目論んでいます。テレビ局としても、その流れを歓迎しているようです。
ただこうした“すでに知名度のある人を効率的に刈り取る”といった行為を続けていると、テレビ局にとっては危険な側面もあるように思います。それは出演者が、メディアサイズに収まった人ばかりになってしまう可能性もあるということです。
なかなか時代的にも、“生え抜きを育てる”という余力はなくなってきているのかもしれません。しかしテレビ局がネットで勝手に育った人ばかりを使っていると、今はよくても中長期的に見るとどんどん規模感が小さくなっていく可能性もあります。それは、テレビという場を退屈にすることにつながるのではないでしょうか。
変わっていくテレビ業界の人選基準。11月25日には、フジテレビが希望退職者を募集するというニュースも報じられました。局の存在意義が問われているからこそ、こうしたアナウンサー採用の傾向の変化も起きているのかもしれません。
(文:おおしまりえ)