■収入の不安定は金銭感覚の不一致を生み出す
また2人の結婚には、スタート時から常に収入面での不安定さがありました。
離婚理由の代表的なものの1つは「金銭感覚の不一致」です。しかしこの金銭感覚の不一致というのは、生活を共にしていくなかで合わなくなっていくケースが非常に多いのです。
たとえば子どもが生まれても独身のころと変わらずお金を使い続けるパートナーに嫌気を指した……なんてケースです。これは最初こそ合っていたけど、生活パターンの変化とともに合わなくなったという典型です。
壱成さんの場合はそもそも生活自体が困窮していたことに加え、子育てというプレッシャーも相まって不安が重なっていたのでしょう。ただ1つ気になったのは生活が困窮するなかでも、壱成さんの毎月のタバコ代が3万円ほどあったというエピソードです。
妻は、安定的な生活のなかでの3万円なら許せたかもしれません。しかし困窮しているのであれば、話は別。以前と同じように嗜好品にお金を使う夫に対し、だんだんと金銭感覚の不一致感を募らせていくというのは一般にもありえる話です。
■メンタルの不調は知らぬ間に性格の不一致を生み出す
また離婚理由の第1位はズバリ、「性格の不一致」です。本来は性格が合っていると思うから結婚をするのに、なぜ不一致になってしまうのでしょう。理由の1つは、「人は生活環境や年齢とともに、性格や価値観が変わっていく」ということにあります。
また性格というのは、そのときのメンタルにも大きく左右されます。たとえばブラック企業に勤めてメンタルを壊してしまい、本人も知らぬ間に性格も変化……なんてことがあります。
もちろん、根本的な気質が変わるわけではありません。ただ環境によって一時的に人の性格が大きく変化し、それによってパートナーシップにも影響が出るといのはよくあることなのです。
壱成さんも子どもの誕生や移住という生活環境の大きな変化、そしてメンタル不調といった要因もあって少なからず影響は出ていたことでしょう。その結果、夫婦がだんだんと相手を許せなくなる……という流れがあっても仕方ないことなのです。
ここまで、多くの人が「やっぱり」と指摘する背景にあった“3つの不安要素”について考えてみました。
なにはともあれまずは壱成さんのメンタルが安定し、そして飯村さんもお子さんとの生活が安定することを願いたいと思います。
(文:おおしまりえ)