今月9日からスタートするNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』。鎌倉幕府を開いた源頼朝の死後、北条義時が幕府の最高指導者である“執権”に上り詰めるまでの、波乱万丈の鎌倉初期を描く“予測不能なエンタテインメント”という触れ込みだ。
脚本は、『新選組!』(’04年)、『真田丸』(’16年)に続き、3度目の大河ドラマとなる三谷幸喜(60)。主人公・北条義時を演じるのは小栗旬(39)。その他にも大泉洋(48)、新垣結衣(33)、菅田将暉(28)、佐藤浩市(61)といった豪華キャストが多く出演することから、制作発表時から大きな注目を集めている。
ちなみにタイトルの“鎌倉殿”とは、鎌倉幕府の将軍のこと。そして“13人”は、その将軍・頼家(頼朝の嫡男)を支えた家臣集団(御家人)たちのことをいう。そのうちの1人が北条義時なのだが、この13人の御家人たちが繰り広げる激しい内部抗争がドラマの軸として展開されていく。
だが、この実在した13人すべてのリアルな人物像を知っている人は、鎌倉時代の歴史に詳しい人以外、あまりいないのではないだろうか。そこでドラマをより楽しむために、特に注目すべき人物を、歴史学者の渡邊大門さんに聞いた―――。
「13人の中では、相模の武将・梶原景時がいちばん面白いキャラクターだと思います。大江広元や三善康信などは京都から来た下級貴族であまり面白いエピソードはありません」
渡邊さんは史実から梶原景時がドラマのキーパーソンになるのではないかと予想する。
梶原景時は、源平合戦のひとつ『石橋山の戦い』(1180年)では、当初、平家側について参戦し、頼朝軍を討伐する“敵側”の武将だった。
「この戦で敗れた頼朝は、山中の洞くつに逃れたのですが、景時に発見されて自害を覚悟します。ところが、景時が見逃してくれたことで命がつながったという逸話があります」
その後、寝返った景時は頼朝の御家人となり、侍所所司(軍事や警察を担った組織の次官)に任命されるなど重用されるようになり、源平合戦でも源氏の軍監として活躍する。