住んでいた場所は違っても、年齢が近ければ「そうそう! わかる」って盛り上がれるのが、青春時代に夢中になった映画の話。活躍する同世代の女性と一緒に、“’80年代”を振り返ってみましょう――。
■“職場恋愛”の新しいパターンに驚きが
「’60年代後半から’70年代、ベトナム戦争によって経済も人心も疲弊したアメリカは、レーガン政権下(’81~’89年在職)、『強いアメリカ』を打ち出しました。人工衛星を利用したミサイルシステムなどスターウォーズ計画を推進し、ハリウッド映画による『豊かで強いアメリカ』の発信にも、こだわったとされています」
こう話すのは、世代・トレンド評論家の牛窪恵さん(54)。
『インディ・ジョーンズ』シリーズ(’81年~)、『愛と青春の旅だち』(’82年)、『ターミネーター』(’84年)や『ロッキー4』(’85年)といったヒット作が世に送り出された時代に、ひときわ輝きを放った映画が『トップガン』(’86年)だ。
「いまでもバブル世代にとって『レイバン』のサングラスと聞いて連想するのは、トム・クルーズが劇中で使用していたタイプでしょう。当時は、男子大学生の多くがフライトジャケットのMA-1を着るなど、映画の影響を強く受けました」
スカイアクションとして、リアルな戦闘シーンも見応えの一つだが、女性にとってはトム・クルーズ演じるマーヴェリックと、ケリー・マクギリス演じるチャーリーとの恋の行方も気になった。
「マーヴェリックが声をかけたチャーリーは、じつは女性教官だったという展開。当時、日本の職場恋愛は、将来有望な男性社員と、お茶くみ程度しか任せられないOLのカップルが一般的だったため、映画で描かれる恋愛パターンは新鮮であるとともに驚きでした」
また、映画が公開された’80年代中ごろは、各家庭にビデオデッキが普及してきた時代でもあった。
「レンタルビデオ店でアルバイトをしていましたが、大きな店舗だったので、話題作は何十本も入れるんです。なかでも『トップガン』の人気は圧倒的で、返却されたそばから貸し出され、つねに『貸出中』の札がついていました」
トム・クルーズにとって最初の代表作となったが、役のイメージが強すぎて「似たような役しか来ないのでは?」とも懸念された。
「続く出演作『カクテル』(’88年)は、彼のアイドル的な人気に支えられた部分があったかもしれません。でも、『レインマン』(’88年)で繊細な役柄を演じきったことにより、俳優としての評価が高まりました」
『ミッション:インポッシブル』(’96年)はシリーズ化され、’22年5月には『トップガン』の続編『トップガン マーヴェリック』が日米同時公開される予定だ。
【PROFILE】
牛窪恵
’68年、東京都生まれ。世代・トレンド評論家でマーケティングライターとして『ホンマでっか!?TV』フジテレビ系)など多数の番組で活躍