そんな寡黙な青山さんだが、菅田を叱咤したことが。菅田は撮影期間に行われた食事会で青山さんから言われた言葉を明かしている。
《『お前の芝居はまだ“4分の4拍子”だ。ミュージシャンは16ビートまで考えるんだよ』って。(中略)今となっては、どの現場でもふとよぎる言葉ですね。感覚や衝動に任せるのではなく、もっと丁寧に、ミリ単位でやっていけ、と》(「Yahoo!ニュースオリジナル」’18年3月14日配信記事)
アイドル俳優だった菅田に演じる楽しさを開眼させた青山さんの“演技が雑”という愛の檄。前出の映画関係者は言う。
「菅田さんは『共喰い』出演後、現場で学んだことを役者仲間に飲み会でよく話していたそうです。青山監督のことも『少年のようにキラキラした目をしている監督』と尊敬しきりな様子でした」
その後、『共喰い』での演技が高く評価され、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し、演技派俳優としてスターダムを駆け上がった菅田だが、密かな“夢”を抱いていたという。
「『共喰い』の撮影後、菅田さんが青山さんに『僕、ヘタクソでしたよね?』と聞くと、笑顔で『ヘタクソだったね』って言われたそうです。菅田さんは正面から向き合ってくれる青山さんの姿勢がうれしかったそうです。
同時に役者として成長した姿を青山さんに見せたいという思いもあり、いつの日か再びタッグを組むことを熱望していたといいます」(前出・映画関係者)
菅田は『共喰い』公開を迎えた当時、こう語っている。
《僕にとってはこれが役者としての転機になりました。『共喰い』をやったから、死ぬまで役者やめられないなって。二十歳になった今、一生この世界で生きたいと思ったので》(『ピクトアップ』’13年10月号)
俳優・菅田将暉の礎を築いた青山さん。天国からカメラ越しに菅田の活躍を見守り続けるだろう。