■はじめてのおつかいが海外で好評の理由
さらに長谷川氏は『はじめてのおつかい』、『モルカー』がヒットした内容面での勝因に“非言語性”があると分析する。
「どちらもノンバーバル(編集部注:非言語)な面白さがありますよね。言葉の壁を越えて理解できる中で『モルカー』独特のシュールさがウケたのではないでしょうか。
また『はじめてのおつかい』も番組コンセプトがわかりやすいですよね。登場する幼い子供たちが笑ったり、泣いたり、不安になったりする表情を見るだけで、日本語がわからなくても何をしているかが見ていればわかる。そうしたドキュメンタリーとしての面白さがあります」
1980年代後半にかけて一般人が過激なアトラクションに挑戦する様子が人気を博した、伝説のバラエティ番組『風雲!たけし城』(TBS系)。150以上の国と地域で放送されヒット作となった同番組は、23年にはAmazon Prime Video制作で復活し、全世界配信も決定。『たけし城』が世界の人々を魅了する陰にも、 “非言語的な面白さ”があると、長谷川氏は言う。
「『たけし城』は一見単純に笑わせているようでありながら実はかなり緻密に作られていて、参加者も大袈裟なリアクションで笑いを取ったり、体を張ったりして映像としてのインパクトが強いですよね。また出演者が一生懸命にバカバカしいことに取り組む番組が海外で斬新に映ったのも事実です」
長谷川氏は、世界に通用する日本のコンテンツとして、これまで海外でヒットする日本文化のキーワードとしてあった「クール・ジャパン」や「kawaii」とは違う方向性を見出す。
「kawaiiやクールジャパンなどを日本人はイメージするかもしれませんが、海外でウケるのは意外なものだったりします。言語に依存しなくても伝える映像のインパクトや、奥ゆかしさや真面目さといった“日本らしさ”を感じさせることではないでしょうか」
果たして、『モルカー』『はじめてのおつかい』に続く日本の作品は――。