渡辺裕之さん「思うような演技できない」コロナ禍で漏らしていた“完璧主義の苦悩”
画像を見る 婚約発表会見で満面の笑顔な渡辺さんと原

 

■渡辺さんは「思うような演技ができない」と苦悩

 

3人の孫にも恵まれ、’19年には無事に銀婚式を迎えた。だが今度は、CMでの「ファイト一発!」の掛け声でもおなじみの、渡辺さんの快活さに陰りが見えるようになる。

 

「ドラマや映画へもコンスタントに出演していたのですが、本人はコロナ禍の影響に悩んでいました。渡辺さんは役を作り込むタイプの俳優でしたから、スケジュールが変更になったり、登場シーンが減ったりすることでペースを乱されてしまったのかもしれません。 『思うような演技ができない』と、苦悩を漏らすようになったのです」(テレビ局関係者)

 

そんな渡辺さんにとって妻の存在は救いだった。彼は’21年5月に出演した『徹子の部屋』(テレビ朝日系)で、こう話している。

 

「(仕事がなくて)本当に落ち込んでいました。そのときは努めて元気にしている妻に影響されて助けられました」

 

渡辺さんは“完璧主義”なだけに、人より悩んでしまったのだろうか。前出の松下さんは、

 

「サイン1枚書くのにも、自分で毛筆を用意して、30分もかけて絵を描くように仕上げるんです。何をするにも“いいかげん”にはできない。私が『そんなに完璧にしなくても、いまの(演技で)最高じゃないですか』などと言っても、絶対に納得しませんでした。

 

趣味のゴルフにしても、3年ほど前に肩を痛めて、スコアも飛距離も伸びなかったそうなので、楽しめなかったのかもしれません」

 

コロナ禍に加えて、66歳という年齢の影響もあったのではないか、と語るのは精神科医の香山リカさん。

 

「一般的に言えば、60代後半は初老期のうつ症状が出やすい年齢でもあります。特に渡辺さんは、明るくタフなイメージを保ち続けていた俳優さんでした。トレーニングルームで発見されたとのことですが、肉体を維持したいという気持ちもあったでしょう。

 

それが70歳へ近づいていくうち、理想とする若々しさと、現実の自分の体力とのギャップを感じ、苦しまれていたのかもしれません」

 

かねてインタビューなどで、「いつか2人だけで行きあたりばったりの旅をしたい」と、語っていた原と渡辺さん。

 

特に原は昨年の夕刊紙のインタビューでも、日本国内や海外への旅の希望を明かしていた。子供たちも手が離れ、コロナ禍も収束した後の旅行は、かつて自分を救ってくれた夫への恩返しの意味もあったのか。だが、その機会は渡辺さんの逝去により、失われてしまった。

 

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