■「優しく繊細な音色は神田寛明先生譲り」
そんなCocomiが番組内で披露した楽曲は、クラシック名曲の「アヴェ・マリア」「愛の小径」「エストレリータ」「ヴォカリーズ」の4曲。チェリストの佐藤晴真氏(24)、ピアニストの金子三勇士氏(33)、高木竜馬氏(29)も演奏に参加した。
いずれの楽曲も心が和むような穏やかな音色が印象的な演奏だったが、専門家の目にはどのように映ったのだろうか?
「Cocomiさんの誰の耳にも明らかな優しく繊細な音色は、彼女の師匠である神田寛明先生譲りです」
そう語るのは、音楽ライターの小室敬幸氏。テレビで初披露したCocomiの演奏について、解説してもらった(カッコ内は全て小室氏)。
彼女が恩師から受けた影響は楽器選びにも表れているといい、小室氏はこう説明する。
「神田先生はフルート奏者としては珍しく、(古楽器ではない)木製のフルートを使用していることで知られているのですが、その楽器を作っているのがアメリカのパウエル社。Cocomiさんは曲によって金属製のフルートを3種、使い分けているそうですが、これらは師匠と同じパウエル社の楽器なのです」
番組では“歌う楽器”として紹介されたフルート。Cocomiは番組冒頭で、ピアニストの高木氏と「アヴェ・マリア」の演奏を披露した。
そのアンサンブルについて小室氏は「放送のなかでは“いかに歌に近づくか”というこだわりにフォーカスしており、実際に演奏もその通りだったのですが、それ以上に感心したのは構成感の見事さ」と語り、こう続けた。
「最初に演奏したグノーの『アヴェ・マリア』は、同じ旋律を1回目(1番)はフルートとしてはやや低い音域で、2回目(2番)は1オクターヴ上のよりフルートらしい音域で聴かせるという流れになっています。
1回目の低い音域は、若い奏者だと単調な表現になってしまったり、まだ曲の序盤なのに盛り上げすぎてしまったりしがちなものですが、抑制された表現のなかにもしっかりとグラデーションがあって、水彩画のような繊細さが実に素晴らしい」