■炎上の背景にある2つの要因
まず、「これには2つの側面があり、私は仕組みや構造の問題だと考えます」と前置きをした上で、山路氏はこう考察する。
「まず1つ目は、現代における“SNS社会”の構造的な問題です。テレビが1次情報だとして、番組を見た人がSNSに『これは危険なんじゃないか』と書き込む人が出てくるとします。この2次情報をリツイートすることによって拡散され、炎上に繋がってしまうのだと思います。
おそらく昔にも同じような番組はあったとは思います。ネットやSNSがない時代は、テレビ局へのクレームは電話がほとんどです。ですが1日に何本クレームが入ったかなど、世間には可視化されないわけですよね。そのような時代にも炎上騒動はあったかもしれませんが、現代のように拡散はされませんでした」
そして2つ目は、テレビ局側の体制に問題があるという。
「テレビ局だけでなく、制作会社も含めたチェック機能の問題だと思います。今回の件でいうと、食の世界では常識とされていることついて、ディレクターやプロデューサー、現場の人間が精通しているかといえばそうとは限りません。ですので、誤った情報の発信を防ぐためにもチェック機能が必要なんです。
例えば、歴史番組を制作するのであれば、制作側は時代考証の専門家を入れますよね。他にも料理をテーマとしたドラマなら、フードコーディネーターや料理人の技術指導が入ります。そのように精査することが情報番組やバラエティ番組に関しては、甘いのではないかと思います」