10月7日、日本外国特派員協会で統一教会(現在は世界平和統一家庭連合)の元2世信者・小川さゆりさん(仮名)が開いた記者会見。教団の規制や被害者救済のための新たな法整備を求めた小川さんだが、会見終盤で教団側から両親の署名入りで会見中止を求めるファクスが届くという驚きの展開が待っていた。
会見に同席した小川さんの夫は、「内容を要約すると、『彼女(小川さん)は彼女が言っているように精神に異常をきたしており、安倍元首相の銃撃事件以降、その症状がひどくなってしまっていて、多くの嘘を言ってしまうようになっています。そのため、この会見をすぐに中止するように』というメッセージが届きました」と教団側から届いたファクスを読み上げた。
これを受けて小川さんは、両親に没収された200万円が返済されていないことや自らの精神疾患について説明。4年前に出会った夫が自分を支え続けてくれたことに触れた上で、「(心の症状については)4年前の時点で治っています。なので現在、私は正常です」と反論。「私が正しいと思ってくださるなら、どうかこの団体を解散させてください」と求めていた。
9日放送の『サンデージャポン』(TBS系)では小川さんの会見を取り上げ、統一教会に対する解散命令について議論が交わされた。しかし、コメンテーターの杉村太蔵(43)の発言が“何も学んでいない”として波紋を呼んでいる。
岸田文雄首相(65)は10月5日の衆院本会議で、統一教会における宗教法人法に基づく解散命令の請求について「宗教法人の法人格を剥奪するという極めて重い対応である解散命令の請求については、判例も踏まえて慎重に判断する必要があると考えております」と述べていた。
いっぽう番組では、小川さんと同じ2世信者の30代女性が「きちんと実態の究明をして、必要であれば法整備もしていただきたい」と求めるコメントを紹介。加えてこの女性は、岸田首相に対しても「実行力に乏しい」「今回の解散命令請求に関しても自分達の責任を感じてほしい」と苦言を呈していた。
これまで宗教法人に解散命令請求がなされたのは2例のみ。地下鉄サリン事件など多数の凶悪事件を引き起こしたオウム真理教(96年)と、「先祖を供養しないと不幸になる」として多額の供養料をだまし取ったとして教団の幹部らが詐欺の疑いで逮捕された明覚寺(02年)だ。
田中裕二(57)から意見を求められたジャーナリストの鈴木エイト氏は、09年に教団関連会社の社長や幹部らが特定商取引法違反の疑いで逮捕された霊感商法事件を挙げて、「ここで高度な組織性を裁判所が認定した上で有罪判決を刑事事件で下しているんですよね。しかもその被害の金額、さっきの2世の苦しみというのは明覚寺とかのレベルではないんですよ。そういったところから、さっきの小川さゆりさんの会見を見て心を動かされない政治家がいるって僕は思いたくないんですよ。なので十分に要件は満たしていると思います」とコメント。
デーブ・スペクターは統一教会以外にも家庭を壊してしまうような宗教団体が存在することを指摘し、「色んな細かい法律で、消費者庁じゃないんですけども、ここまではやってはいけないみたいなプランを作った方が早いと思う。ここ(統一教会)だけじゃないわけですから。解散命令のハードルがあまりにも高いから、それ以外の根拠を以って改正すればいいのではないかと思う」とコメント。エイト氏も「そうですね。反セクト法に近いようなそういう形の法整備は可能だと思うんですよね」と賛同した。