ミュージシャンの椎名林檎(43)が10月7日、自身初となるリミックスアルバム「百薬の長」をリリースすると発表した。しかし、その特典内容が物議を醸している。
国内外のアーティスト12組が集結する「百薬の長」。11月30日に発売される同作について、椎名の公式サイトでは「ジャンルやジェネレーションを越えた国内外の魅力溢れるアーティストが生み出したジェネリック点耳薬。用法用量お気になさらず左右の耳から服用ください」と紹介している。
「百薬の長」のリリースが発表されると、《予約しました、楽しみすぎる》《期待してます!》と大きな反響があった。いっぽうで、思わぬ波紋も呼ぶことにーー。
椎名の所属するレコード会社「UNIVERSAL MUSIC」の直販サイト「UNIVERSAL MUSIC STORE」では3種類のグッズを付属した限定版を発売。ところがグッズの一つであるアクリル・カードケースは赤地で、その上部に十字が描かれているため「ヘルプマーク」に酷似しているとの指摘がSNSで上がったのだ。
東京都福祉保健局の公式サイトはヘルプマークについて、こう綴っている。
「義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、または妊娠初期の方など、外見からは分からなくても援助や配慮を必要としている方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることで、援助を得やすくなるよう、作成したマークです」
そして東京都福祉保健局は、ヘルプマークを見かけた際には「電車・バスの中で、席をお譲りください」「駅や商業施設等で、声をかけるなどの配慮をお願いします」「災害時は、安全に避難するための支援をお願いします」と呼びかけている。
そのためネット上では、椎名のアクリル・カードケースについて《私も障害があり鞄につけておりますが、ヘルプマークは配慮や援助を求める大事なマークなんです。椎名林檎さんのグッズと思われ、必要な援助を受けづらくなってしまうのではと不安です》《本来の目的で使用してる方への誤解を招く恐れがあります》と懸念する声が上がっている。
また、限定盤の特典にはマスクケースもある。しかし、これには白地で赤い十字が描かれており、赤十字マークを彷彿とさせるものになっている。
「赤十字マークを“医療の象徴”のように捉えている方もいますが、そうではありません。実は“紛争地域で命を守るためのマーク”で、紛争地域でこのマークを掲げている人々、救護員やその施設などを攻撃してはならないとジュネーヴ条約で定められているんです。重要なマークなので、使用法についてはジュネーヴ条約や国内の法律で厳しく決められています」(全国紙記者)
’20年3月、「ダイソー」で販売されていた「着せ替えフレンドエリーちゃんお洋服 かんごしさん」に日本赤十字社の許諾無しに赤十字マークが使用されていることが判明。商品は製造中止となり、ダイソーを運営する「株式会社大創産業」は「今後一層日本赤十字社様をはじめとする団体・組織の理念を尊重し、標章の確認をした上で商品化するよう、再発防止に向けて取り組んでまいります」との声明を発表していた。
そのため椎名のマスクケースに対して「赤十字マークを乱用しているのでは」とし、《赤十字マークの規定違反は大丈夫なのでしょうか…?限定版とても魅力的なのですが、身につける側も抵抗感があります…》と疑問視する声が上がっている。
そこで本誌は、UNIVERSAL MUSICにアクリル・カードケースやマスクケースに対する声への見解、そして「デザインを変更する予定はあるのか」などと質問状を送付。すると、以下の回答があった。
「椎名林檎オフィシャル・リミックスアルバム 百薬の長【UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤】の付属グッズに関しまして、多くの皆さまから頂きましたご意見を踏まえ、弊社内で事実確認および今後の対応について協議を行っています。詳細が決まり次第、速やかにお知らせいたします」
“協議中”とのことだが、グッズの行方は果たして?