■「会社として差し押さえがあったのは事実です」(実弟)
現在も松原の所属事務所社長を務めている伸輝さん。今回の差し押さえ騒動について話を聞いた。
――昨夏、出演料が差し押さえになったのは事実でしょうか。
「会社として差し押さえがあったのは事実です。ただ誤解してほしくないのは、松原個人に差し押さえが入ったわけではないということです。会社の法人税の滞納があって、この前、滞納分の支払いが終わったんです。差し押さえは、いまは解除されています」
――税金滞納の原因は何だったのでしょうか。
「(数秒の沈黙)それはまあ、業績が悪いからじゃないですか……。特にダメージが大きかったのはコロナですね。営業の仕事もまったくなくなりましたから。滞納分は返済計画を立ててずっと支払っていたのですがコロナで支払えなくなってしまい、差し押さえになってしまったのです」
――このことを松原さんはご存じなんですか?
「いいえ。松原は会社の役員でもないですし、経営にはまったくタッチしていないので、本人にコメントを求められてもわからないと思います」
松原を必死にかばう伸輝さん。14年前、彼女の命を救ったのも弟の伸輝さんだった。
「もともと松原さんは腎臓が弱く、40代で慢性腎不全に。’08年には人工透析を受けるようになり、担当医から『死ぬ一歩手前』だと告げられたといいます」(前出・音楽関係者)
当時の病状について、松原はインタビューでこう語っている。
《肺に大量の水が溜まっていたんです。しかも、腎臓が2つとも2%しか機能していないこともわかりました。そのときの私の腎臓、梅干しみたいに小さく固まっていたんです。あと1日か2日遅かったら、尿毒素が脳に回って大変なことになっていたと、先生に言われました》(『女性セブン』’14年12月18日号)
酸素マスクを携帯して日本各地を回り、人工透析を続ける松原を見かねた伸輝さんは’09年4月、自らの腎臓を提供すると伝えた。
「最初は松原さんも『そんなことできるわけないでしょ!』と拒んだそうですが、伸輝さんは提案した時点ですでに病院も医師も手配済みで、松原さんが断れないようにしていたんです。松原さんと当時70歳近い実母の生活を守るために伸輝さんは“自分は絶対に大丈夫だから”と説得したそうです」(前出・音楽関係者)
最終的に弟の提案を受け入れた松原は、生体腎移植を受けて奇跡の復活を果たしたのだ。
「元夫との泥沼の離婚トラブルがあった直後の’04年には事務所に空き巣が入り、金庫や宝石が盗まれる被害にも遭いました。松原さんの人生はまさに波瀾万丈。伸輝さんがいなければ、数々の荒波を乗り切れなかったはずです」(前出・音楽関係者)
本誌の取材中、臓器提供に話が及ぶと伸輝さんは「身内だったら誰だって(腎移植を)やりますよ」と当然のように答えていた。松原の今後について、伸輝さんは最後にこう語る。
「繰り返しますが、今は支払いも全て終わり、差し押さえももう解除されています。やっと仕事が戻ってきているんです。これ以上はお話しすることはありません」
松原は現在、2匹のトイプードルとともに都内で一人暮らしをしているという。昨夏のインタビューで松原は力強く、こう語っていた。
《腎臓をくれた事務所の社長(伸輝さん)に、本当に感謝。私には歌しかありませんから》
演歌界随一の姉弟の絆で、この難局を乗り切る――。