寒空の下、白シャツに紺のパンツという薄手の服装で、ビルから出てきたのは山下智久(37)。スタッフの男性からロングコートを受け取って羽織ると、食事休憩へ。
1月下旬、都内で撮影されていたのは山下の主演映画『SEE HEAR LOVE~見えなくても聞こえなくても愛してる~』(Amazon Prime Videoにて’23年配信予定)だった。
人気漫画の実写化で、視力を失う病いにかかった漫画家(山下)と、耳の聞こえない女性(新木優子)との出会いを描くラブストーリー。
「ただ、この現場の雰囲気があまりよくなくて……」
と製作関係者は漏らす。その原因は、監督にあるようだ。
「今回、メガホンをとるのは日本でも大ヒットした韓国映画『私の頭の中の消しゴム』(’04年)を手掛けた、イ・ジェハン監督。山下さんは『以前から、イ・ジェハン監督のファン』と話していて、憧れの監督とタッグを組めることを喜んでいます」(映画関係者)
日本のスタッフと韓国のスタッフが入り交じった現場の様子を、前出の製作関係者はこう明かす。
「監督が、路上喫煙禁止区域なのに煙草を吸うので、日本のスタッフが注意したのですが、聞いてくれなかったり……。かと思えば、監督がフラッといなくなってしまい、探し回る羽目になったことも。
『知らない人が現場に入り込んでいると思ったら監督の友達だった。関係ない人を呼ぶなんて!』と呆れているスタッフもいました。通訳を介さないと言葉が通じず、コミュニケーションがとりにくいこともあり、日本側のスタッフが監督に振り回されて、現場はピリピリと凍てついた空気になっているんです」
そもそもこだわりが強く、一筋縄ではいかない監督のようだ。
「イ・ジェハン監督は納得するまで、何時間でもねばるタイプ。別の作品では最長30時間、撮影が続いたことも。一緒に仕事をしたことのある西島秀俊さんは監督を『完璧主義者で狂気の人』と言っていました」(前出・映画関係者)
そんななかでも山下は現場のピリピリムードに左右されず、演技に集中しているという。
「カットがかかっても、山下さんから『もう一度やりたい』と提案されることもあり、意欲の高さを感じますね」(前出・製作関係者)
山下は、’20年にジャニーズ事務所から独立する以前より海外への意識が強く、独立後も海外の作品や外国と日本の合作への出演を重ねてきた。そうした経験によって《僕自身も、人それぞれであることに疑問を抱かなくなった》(「ニューズウィーク日本版」’22年9月7日配信)と語っている。
いまや国際派俳優の彼にとって、目の前の“日韓衝突”も慣れっこなのかもしれない。