カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞した役所広司(写真:ロイター/アフロ) 画像を見る

東京都内の高級住宅地にある木々が生い茂った一角。石段を上っていくと、如来像や地蔵が納められている小さな祠がいくつか立っていた。如来像は古いもので、ところどころすり減っているものの、神秘的な表情をたたえている。

 

近隣の住民たちからも信仰されているのか、花や日本酒なども供えられていた。この祠の近隣には役所広司(67)と、その妻・さえ子さんが住んでいるーー。

 

役所は5月27日、カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞した。

 

「ヴィム・ヴェンダース監督の作品『パーフェクト・デイズ』での演技が評価されました。日本人俳優としては19年ぶりの快挙です。現地メディアは“彼は世界最高の俳優の一人”と絶賛しています。

 

役所さんが世界からも注目を集めるようになったのは’90年代後半。’97年に主演映画『うなぎ』(今村昌平監督)がカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞してからです」(スポーツ紙記者)

 

俳優としての実績を確固たるものにした役所は翌年の’98年、前述の場所に個人事務所名義で自宅を購入。約130坪の土地に立つ3階建ての豪邸だ。よほどこの地を気に入ったのだろう。’99年には隣接した約90坪の土地を、さらに’22年には個人名義で約70坪の土地を買い足しているのだ。

 

役所がこの地を選んだ理由の1つが、如来像の祠だという証言もあった。祠が立つ土地を継承した女性はこう語る。

 

「役所さんは緑が好きな方だそうです。ご自宅から緑に囲まれた如来の祠を望むこともでき、その景観を気に入られて、ここに住むことを決められたと伺っています」

 

この件について、所属事務所に取材すると、担当者は次のように答えた。

 

「(役所は)祠があることは知っているそうですが、祠が好きだから(自宅を)購入したということではないそうです」

 

だが役所が仏教に強い関心を持っているのは間違いないようだ。

 

「’10年にドキュメンタリー番組に出演し、三蔵法師の軌跡を追ったこともあります。収録から帰国した後も、スタッフと毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ、大乗仏教における仏の一尊)について熱く議論を交わしていました」(テレビ局関係者)

 

また雑誌の対談では仏壇の重要性について語っていたことも。

 

《いま生きている僕の生命は、親父やお袋の先にたくさんの生命が繋がってあるわけでしょう。仏壇って、現実を生きている僕らと向こうの世界の人々とを結ぶ窓のような存在に思えるのです》(『pumpkin』’09年6月号)

 

実は彼が選んだ地にはさらなる神秘も隠されていた。

 

「1930年代に古墳が発見されていたのです。元の形はほとんど失われていましたが円墳で、跡地には祠があったと記録にあります。特に保存されずに宅地造成が進んだため、正確な位置はわからなくなってしまいましたが、いま如来の祠がある辺りも有力とされています」(地域の歴史に詳しい住民)

 

強力なパワースポットともされる古墳。25年前に役所がこの“出世の地”に導かれ、福を得たのは、演技を極め続けようとする求道的な姿勢や俳優としての天才性ゆえだったのか。

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