「猿之助さんは10月までの公演を休演すると、歌舞伎の興行主である松竹が発表しました」(スポーツ紙記者)
5月18日、東京都内の自宅で自殺を図り、救急搬送された市川猿之助(47)。向精神薬の服用で父・市川段四郎さん(享年76)と母・延子さん(享年75)は中毒死した。
世間を騒がせた一家心中事件から早くも1カ月がたとうとしているが、騒動の余波は広がり続けている。
「猿之助さんは天海祐希さん(55)主演映画『緊急取調室 THE FINAL』に出演していました。6月16日に公開予定でしたが、急遽延期に。映画の宣伝はほとんどキャンセルとなりました」(前出・スポーツ紙記者)
歌舞伎公演も複数休演することに。歌舞伎関係者は複雑な胸中を明かす。
「歌舞伎界には“興行収入ランキング”なるものが存在します。歌舞伎俳優でもチケットが特によく売れる人がいるのです。
猿之助さんはそのなかでも3位の人気役者。松竹としては、“なんとしてでも猿之助さんには復帰してもらいたい”というのが本音でしょう」
しかし警視庁捜査一課は、猿之助を自殺幇助罪で逮捕する方針であると、『週刊文春』は報じている。
「現状では猿之助さんの復帰は絶望的。とはいえ、ランキング上位の玉三郎さんもあの発表がありましたから……」(前出・歌舞伎関係者)
6月5日、女方の最高峰であり、人間国宝でもある坂東玉三郎(73)が歌舞伎座の本興行から距離を置く意向を明かしたのだ。
「大劇場で何カ月も舞台に立つような仕事は体力的に難しくなってきた。これからは小さな空間での新しい試みに軸を移していくことになる」と語った玉三郎。
“興行収入ランキング”では猿之助と同じく3位に名を連ねていたというが、
「’19年には地方での短期公演から引退しています。今後は歌舞伎座公演からも退くとのことで、興行としては大打撃は免れません」(前出・歌舞伎関係者)
興行収入ランキング2位は片岡仁左衛門(79)。彼もまた人間国宝だが、集客力は下がるいっぽうだという。
「仁左衛門さんは昨年11月、37歳下の女性との不倫が“文春砲”によって報じられました。真面目な人柄で知られ、これまでスキャンダルとは無縁だっただけに、ファンの失望も大きかったようです。高齢であることからも、これから急に人気が上がることはないでしょう」(前出・歌舞伎関係者)
そこで、期待を一身に集めるのが興行収入ランキング1位の市川團十郎(45)だ。
「團十郎さんは人気、知名度ともに圧倒的。歌舞伎界が危機に瀕する今、松竹としては團十郎さんにもっと歌舞伎に出てもらいたいと考えています。
歌舞伎界の未来は團十郎さんにかかっているといっても過言ではありません」(前出・歌舞伎関係者)
しかし当の本人はというと、思いがけない事態に戸惑っているようで……。
「ともに歌舞伎界を牽引してきた猿之助さん、仁左衛門さん、玉三郎さんの“穴を埋める存在”として期待を一身に背負うことになり、あまりの重圧に團十郎さんは愕然としています」(前出・歌舞伎関係者)
それだけではない。團十郎に突如背負わされた役割もあるという。
「澤瀉屋を率いてきた猿之助さんの今後は不透明で、市川中車こと香川照之さん(57)も、歌舞伎界では若輩者。窮地に立たされた澤瀉屋の後見人となるのが、團十郎さんなのです」(前出・歌舞伎関係者)
澤瀉屋と市川宗家・成田屋には宿縁がある。
「初代猿之助はもともと、九代目團十郎の門弟だったのです。あるとき破門されてしまいますが、16年後に許され、“初代猿之助”を名乗ることになりました。
つまり、澤瀉屋の祖はもともと成田屋の一門。團十郎さんが澤瀉屋の後見人となることは自然な流れといえます」(前出・歌舞伎関係者)
しかし團十郎はこれにも拒否反応を示しているという。
「猿之助さんの一家心中事件以来、澤瀉屋では“もう辞めて、ほかに移りたい”という弟子たちが続出しています。團十郎さんはその話を聞き、“俺は引き受けないよ”とひたすら困惑しているというのです」(前出・歌舞伎関係者)
消えゆく人気歌舞伎俳優たち。“独壇場”となった團十郎はこの危機をどう乗り越えるのか――。