■岸本斉史氏のコメント全文(「週刊少年ジャンプ」公式サイトより)
突然のことで何をどう書けばよいのか正直わかりません。
ただ今は鳥山先生にいつか聞いて欲しかった事、想いをお伝えさせて頂きたく思います。
小学生低学年でDr.スランプ、高学年でドラゴンボールとずっと先生の漫画と一緒に育ち、生活の一部で先生の漫画が隣にあるのが当たり前でした。
嫌なことがあっても毎週のドラゴンボールがそれを忘れさせてくれました。何もなかった田舎少年の僕にとってそれは救いでした。
本当にドラゴンボールが楽しすぎたからです!
大学生のときです。突然、僕の生活に長年当たり前にあったそのドラゴンボールが終わりました。
とてつもない喪失感に襲われ何を楽しみにすればいいのか分からなくなりました。
でもそれは同時にドラゴンボールを生み出してくれた先生の偉大さを心から知る事ができるきっかけでもありました。
僕も先生のような作品を作りたい!
先生のようになりたい!
と、先生の後を追いかけるように漫画家を目指すうちにその喪失感もなくなっていきました。
漫画作りが楽しかったからです。
先生を追いかける事で新しい楽しみを見つける事が出来ました。
先生はいつも僕の指針でした。
憧れでした。
先生にはご迷惑かもしれませんが勝手に感謝しています。
僕にとってはまさに救いの神であり、漫画の神様でした。
初めてお会いした時、緊張し過ぎて一言も喋れませんでした。
ですが手塚賞の審査会で何度もお会いするうち話せるようになりました。
ドラゴンボールチルドレンとして尾田さんと2人して子供に戻りまるで競争するかのようにいかにドラゴンボールが面白かったのかをはしゃいで話した時、まんざらでもない様子で少し恥ずかしそうな笑顔をされていたのが忘れられません。
今、先生のご訃報を受けたばかりです。
ドラゴンボールが終わった時以上のとてつもない喪失感に襲われ…
まだこの心の穴にどう対処すればよいのか分かりません。
今は大好きなドラゴンボールも読めません。
先生へお伝えしたいこの文章もまともに書けている気がしません。
世界中の皆んながまだまだ先生の作品を楽しみにしていました。
もし本当にドラゴンボールの願いが1つ叶うなら…すみません…
それはわがままな事なのかもしれませんが、悲しいです先生。
鳥山明先生、45年もの間たくさんの楽しい作品をありがとうございました。
そして本当にお疲れ様でした。
残された家族のみなさまにおかれましては今はまだ深くご傷心のことと思われます。
ご自愛くださいませ。
鳥山明先生の安らかな眠りをお祈り申し上げます。
岸本斉史