バラエティ番組を支えるMC芸人は、番組の雰囲気や流れを左右する重要な存在。しかし、その“手捌き”によっては、視聴者から不満の声が上がることもーー。
例えば8月31日から放送された『24時間テレビ47 愛は地球を救うのか?』(日本テレビ系)ではMCの「くりぃむしちゅー」上田晋也(54)に注目が集まった。バラエティ番組を中心に活躍する上田の武器は鋭いツッコミだが、Xでは《24時間テレビ、上田晋也の毒ある司会ちょっと苦手だったなあ》《上田晋也の司会は24時間テレビには合わないよ、、、ノリがキツいよ、、》との声が上がっていた。
笑いのプロゆえジャンルを問わず、オールマイティに仕事をこなすことができる芸人たち。いっぽう、MC業では発言のバランス感覚や番組との相性の良さが問われるようだ。そこで、本誌はバラエティ番組で活躍するMC芸人の好感度を調査した。20〜60代の男女を対象に、WEBアンケートシステムFreeasyを利用した。視聴者から好まれているのは誰で、苦手意識を持たれているのは、誰なのか? 今回は「苦手なMC芸人」の結果を発表する。
第3位は山里亮太(47)だ。お笑いコンビ「南海キャンディーズ」のツッコミ担当で、「山ちゃん」の愛称で知られている山里。テレビにラジオに大活躍で、現在は『東大王』(TBS系)、『あざとくて何が悪いの?』(テレビ朝日系)、『DayDay.』(日本テレビ)といった番組でMCを務めている。
かつて放送されていたリアリティ番組『テラスハウス』(フジテレビ系)での辛口コメントは、番組名物となるほどの好評を博した山里。しかし、《声と話し方が好きになれない。少し早口な感じで話すところや普通に話しているのだろうけど、何か笑いをとろうとしているように思えたり、他の人に対して冷たいようなバカにしているような表情だったりするところが好きになれない》と辛口トーンを“馬鹿にする”と捉える人もいるようだった。また、早口さからか《声が聞き取りにくい》と述べる人もいた。
また同率で「かまいたち」の名前もあがった。『かまいがち』(フジテレビ系)、『千鳥かまいたちアワー』(日本テレビ系)など多数の冠番組をもつかまいたち。山内健司(43)のボケに濱家隆一(40)が冷静に突っ込む掛け合いを魅力とし、昨年の『FNS27時間テレビ』(フジテレビ系)でも総合MCを務めるなど、ノリにノッているお笑い芸人だ。
だが、たびたびの失言から苦手意識を持たれているようだ。今年2月には、自身らがMCを務めるトークバラエティ『これ余談なんですけど』(ABCテレビ)で、濱家が調剤薬局での薬剤師とのやりとりについて、「あれ全然いらん時間」と切り捨て炎上。《処方箋の件、考えなしに失礼な事言ってしまいました 薬剤師の皆さん、本当にすみませんでした》と謝罪することに。また、山内も’22年に自身がMCを務める『超無敵クラス』(日本テレビ系)で、先にエレベーターを待っていた女性に同乗を避けられたため、一度自分の部屋のある階まで上がった後、もう一度降りたと話し”怖すぎる””笑えない”と視聴者からのドン引きを招いた。
このようなことを受けてか、アンケートでは《以前は好きでございましたがお二人ともうっかり失言をしてしまうようで少し残念でございます》《ちょっと毒舌》《嫌味がある》との声が寄せられていた。
続いて第2位に選ばれたのは浜田雅功(61)だ。山里同様、「ダウンタウン」のツッコミ担当で、「浜ちゃん」の愛称で親しまれている浜田。関西時代から様々な番組のMCをコンビで務め、’94年から’12年までは音楽番組『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』(フジテレビ系)のMCも担当していた。
現在、相方の松本人志(60)は活動休止中だが、『水曜日のダウンタウン』(TBS系)や『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)といったコンビのMC番組は浜田1人で継続中。さらに個人でも『浜ちゃんが!』(読売テレビ)、『プレバト!!』(TBS系)、『ごぶごぶ』(毎日放送)、『ジャンクSPORTS』(フジテレビ系)などで活躍している。
そんな浜田だが、きつい関西弁で鋭くツッコむことから、アンケートでは《番組は好きだけど浜田さんのMCは好きじゃない。番組の外ではとても気を使っているらしいけれど番組の中では人を馬鹿にしているようにみえてしまう》《いじり芸、パワハラ芸はもう充分だから》《ゲストにリスペクトを感じないから》との声が。また人の頭を叩くこともあるため《暴力的》という指摘や、《うるさくて、なんか疲れる》と話し方について厳しい声も上がった。
浜田といえば昨年10月の『キングオブコント2023』(TBS系)では生放送中に、段取りの悪いスタッフに公開説教をしたり、日比麻音子アナウンサー(31)にセクハラまがいのツッコミをしたりして波紋を呼んだこともある。
とはいえ、「好きなMCランキング」でも3位に入っており、この浜田のキャラクターの人気があることも事実。今後は、視聴者の変化と自身の持ち味との間でうまくバランスを取っていくことが求められそうだ。
そして、第1位は有吉弘行(50)だった。元「猿岩石」のメンバーである有吉は’96年、『進め!電波少年』(日本テレビ系)で大ブレイク。しかしその後、人気は低迷し’04年にはコンビを解散。ところが’07年の『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で「品川庄司」の品川祐(52)を「おしゃべりクソ野郎」と呼んだことをきっかけに毒舌芸人として再ブレイクを果たし、今やテレビで見ない日はないほどの人気ぶりだ。
現在のレギュラー番組はMC業ばかりで、『有吉ゼミ』(日本テレビ系)、『櫻井・有吉 THE夜会』(TBS系)、『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日系)、『有吉ぃぃeeeee!そうだ!今からお前んチでゲームしない?』(テレビ東京系)、『有吉のお金発見 突撃!カネオくん』(NHK総合)、『有吉の壁』(日本テレビ系)など10本以上のバラエティ番組を仕切っている。
有吉を再ブレイクへと導いた毒舌芸。最近の毒舌は、再ブレイク時に比べかなりマイルドになっているものの、時代の変化もあってか視聴者の間ではかなり賛否が分かれているようだ。アンケートでは《人を小ばかにした感じが嫌いなので》《人を小ばかにしてる》《毒舌て売れてから嫌い》という声が、毒舌トークが苦手だという人から上がった。また《どこがおもろいのかわからん》《何がおもしろいのかわからない。この人で笑った事がない》という辛辣な声や、テレビにたくさん出演していることから《もう飽きた》という声も上がっている。
6月放送の『ロンドンハーツ女性芸能人スポーツテスト2024』(テレビ朝日系)で熊田曜子(42)を「ミスれミスれ」と野次ったことでプチ炎上した有吉。以前なら熊田とのやりとりは、 “お決まり”のものだったがーー。
今回ランクインした全員が、苦手な理由としてコメントの厳しさや毒舌ぶりなどが指摘されていた。辛口で率直なMCは、これまでバラエティ番組の笑いの1つとして受け入れられてきたが、時代の変化によって一部の視聴者から不快感を呈されることも増えてきている。
単なる辛口MCでは受け入れられない現在。視聴者の共感を得られる”辛口”を責めるためのバランス感覚が求められており、辛口MCのハードルは上がっているようだ。