■交際0日婚の思わぬ落とし穴
一方、交際0日婚のデメリットは、当然ですが、結婚後に思わぬ不一致が見つかる可能性が高い事です。
筆者が過去にインタビューした夫婦のお話をご紹介します。元々友達関係から交際0日婚で入籍した2人でしたが、結婚後にスキンシップへの熱量の違いが発覚。ハグやキスなど、ライトなスキンシップをマメに取っていきたい夫と、人前でのスキンシップは言語道断だし、そもそもスキンシップが苦手だという妻。こうした不一致は埋めることができず、関係は急速に悪化していきました。
また、デメリットとしてもう1つ挙げておきたいのが、超スピード婚ゆえに、入籍しても意識が独身のままで、夫婦関係の構築が進まないケースもあります。
’20年に結婚し2年のスピード離婚をした、俳優の柄本時生さん(34)と、女優の入来茉里さん(34)元夫婦は、まさにそんな感じと言えそうです。12年間友達だったところから交際0日婚となった2人。入籍後は最初こそ円満だったようですが、柄本さんの仕事への没頭ぶりに、入来さんが寂しさをSNSで訴えていたことがありました。
交際0日婚に限らず、結婚したならば、お互いが求める夫婦関係や生活スタイルを、可能な範囲で実現していく必要があります。というか、それをしなければ結婚した意味がありません。入籍後も、どちらかが独身の頃と変わらない意識であれば、それは大きな不満に繋がります。
■0日婚でも続く夫婦に共通すること
では逆に、0日婚でも夫婦関係がきちんと続くケースと、失敗するケースにはどのような差があるのでしょうか?
それは交際期間の長さに関係なく、結婚後に“ちゃんと夫婦になる努力ができる”2人であるかどうかです。
元女優の堀北真希さんと、山本耕史さん夫婦の場合、堀北さんが結婚後に引退を決め、現在は一般人として夫を支えています。夫婦不和の原因の1つには、物理的なすれ違いがあるとされますが、堀北さんが女優という立場を手放し、時間のすれ違いを事前になくしたのは、夫婦になる意識がしっかりあった証拠でしょう。
また、森三中の大島美幸さんと、放送作家の鈴木おさむさんご夫婦は、当初鈴木さん側が大島さんへのリスペクトの気持ちでプロポーズしたのだとか。大島さんは回りに後押しされる形でそれを受け入れたという、全くもって恋愛感情ゼロ夫婦だったようです。
しかしノリのような結婚後も、2人はしっかりと夫婦関係を構築し続けます。ハタから見ていても、より絆を感じることとなったのが、’14年に大島さんが「妊活休業」を公表したことです。その後夫婦での病院通いなどを公表していましたが、その姿は勢いで結婚したカップルだったことを、多くの人が忘れていたことでしょう。
このように、スタートが勢いやノリだったとしても、その後の関係構築をしっかり続けていける2人であれば、正真正銘の絆を得ることが可能です。
そもそも昔は、親が決めた相手との結婚が一般的でした。つまり、交際0日婚がむしろスタンダードだったのです。もちろん、婚姻生活の中身は今とは異なりますが、「夫婦になる」という意識や強制力があれば、人はそこに恋愛感情がなかったとしても、夫婦関係を築くことは可能なのです。
今後コスパを重視する時代の流れのなかで、諸条件を最初に開示した交際0日婚は、増えていくかもしれません。その時、芸能人たちの成功・失敗事例は参考にしたいものです。
(文:おおしまりえ)