11月3日に愛知・Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)で開催されたヒップホップフェス「AH1」。当初は9月1日に開催予定されていたが、台風10号の影響によって中止に。日程変更された今回のイベントでは、元BAD HOPのT-Pablow&YZERRや¥ellow Bucks、Zeebraなど錚々たるアーティストが登場した。
ところが公演中に体をぶつけ合う“モッシュ”が発生し、ライブが一時中断される事態が発生していたようだ。
さらにモッシュが発生したきっかけは、アーティストによる“煽り”だったという。Xでは観客が撮影した動画や写真が複数アップされており、物議を醸している。
「ぐっちゃぐちゃにしてもいいですかー?」
「今から3つ数えるな。3つ数えるわ」
「3つ数えたら、空いてるとこ、真ん中に思いっきり突っ込め!わかった?」
拡散された動画の中には、ラッパーのJin Doggがステージ上からこう観客を煽る様子が収められていた。このことによって会場は、あわや将棋倒しになりかねない状況になっていたという。
「Jin Doggさんが『思いっきり突っ込め!』と煽ったことで、高揚した観客たちが一斉に前方に押し寄せてしまったのです。Xでは『ヤバい!ヤバい!』『やめて!』『痛い痛い……』と叫ぶ女性たちの悲鳴とともに、最前列の柵が倒れる瞬間を収めた映像もありました。
イベントは保護責任者同伴のもと小学生6年生までの子供が入場可となっており、女性の観客も多くいました。突発的なモッシュによって場内が密集してしまい、押し寄せる人の波から子供を守ろうとする人もいたようです。もしも一歩間違えれば、’22年10月に韓国の梨泰院で発生した雑踏事故のようになっていたかもしれません。
ライブは一時中断され、再開された際にはJin Doggさんがステージ上で『すみませんでした』と繰り返し謝っていました」(イベント関係者)
イベントに参加した観客からは、Xでも厳しい声が上がっていた。
《モッシュ参加したけどあれは女の子ホンマに死ぬって感じた》
《Jin DoggのLIVE行ったことなかったからモッシュ?に巻き込まれかけて子供おるから本間に怖すぎた》
《私結構前の方にいたんだけど柵外れてなかったら普通に押しつぶされててやばかったかも、押されて柵壊れてステージに逃げれたからまだ良かった》
いっぽう「AH1」のインスタグラムでは、事前に「禁止行為」として《危険行為 喧嘩 泥酔 暴れる 人に危害を加える その他迷惑行為》とアナウンスされていた。また公式サイトでも、「イベントガイドライン」の中にこう明記さている。
「会場内外で発生したいかなる事故・事件・怪我等につきまして、主催者・会場・アーティストは一切責任を負いません。お客様の責任においてご対応いただきますようお願いいたします」
だがアーティストの煽りによって発生したトラブルに関しては、どうなるのだろうか。また今回の件で、実際にけがをしてしまった観客はいたのか――。
そこで本誌は5日、イベント公式サイトの問い合わせフォームを通じて取材を申し込んだ。今回の件でけが人や搬送者はいたのか、今後の対策などへの見解を質問。しかし期限としていた7日までに、回答が返ってくることはなかった。
同会場ではコロナ禍だった’21年8月にもヒップホップフェス「NAMIMONOGATARI」が開催され、緊急事態宣言下にもかかわらず会場が密集していたことが批判を集めていた。音楽イベントでのダイブやモッシュが危険行為と認識されつつあるなか、アーティスト側の意識も変化が求められているようだ。
※今後回答があった場合は、追記する。