■亡くなる前の日もジムに行っていた
西田さんは、これまで『ドクターX』の病院長やNHK大河ドラマ『翔ぶが如く』の西郷隆盛など、重厚感のある役を多く演じてきた。
冒頭の西田さんの知人が明かす。
「西田さんは、座る役ばかりを演じている自分に忸怩たる思いを抱いていたようです。そのため、ドラマ制作サイドに対して“今回は、立って演技をさせてくれないか”と提案していたそうなのです。
共演の唐沢さんと保奈美さんとは、昨年放送されたドラマ『フィクサー Season2』(WOWOW)でも共演しており、西田さんも出演を心待ちにしていました。
もちろん、ドラマ制作サイドは座って演技をしてもらうことを想定していました。しかし、“もう一度歩いて演技がしたい”と、本人が“歩く”という強い意志を示していたのです。“まだ自分は終わっていないんだ”という役者としての矜持だったのでしょう。
西田さんも『これからしっかりリハビリをやらなくちゃなあ』と意気込みを語っていたのですが……」
実際に、亡くなる2週間前、自宅から出てきた西田さんが、覚束ない足取りながら、車いすや杖を使わずに歩いて車に乗り込むところを本誌は目撃している。
来年のドラマに向けた体づくりに励む最晩年の姿を明かしているのが、脚本家の三谷幸喜(63)だ。亡くなる2日後の『情報7daysニュースキャスター』(TBS系)で、こんなエピソードを語っている。
《(西田さんから)“体を鍛えたいんだけど紹介してくれないか”と言われて僕の行っているジムに呼んであげたんですけど。亡くなる前の日もジムに行かれていたらしいですよ》
《次の連ドラの話もされていたってトレーナーさんがおっしゃってました》
ドラマへの出演は無念にも幻に終わってしまった西田さん。しかし、’21年、映画『いのちの停車場』に出演した際の『スポーツ報知』のインタビューにこう語っていた。
「命が終わっても、輪廻のように自分の意識はどこかにあるんじゃないかな。永遠の別れじゃない」
西田さんの死後も、その“不屈の役者魂”は脈々と受け継がれていくに違いない――。