■晩年に表舞台から遠ざかっていたワケ
劇中の山さんは、家に帰れば妻と養子を大切にする愛妻家として描かれ、当時の主婦層からも根強い人気があった。水野によると、普段の露口さんもそんな山さんの“生き写し”のような存在だったという。
「演技に真摯に取り組む真面目な方で、周囲が盛り上がっているときも、露口さんだけはいつも物静かな様子でしたね。撮影が終わるといつも“お疲れ”ってすぐに奥さんの元に帰って、お酒の付き合いとかも全然しない。ご家族と過ごす時間を大切にされていたのでしょう」
晩年は妻と都内の自宅でマイペースに暮らし、娘夫婦や孫に会うことを楽しみにしていたという露口さん。‘09年のインタビューでは「どうしてもというオファーがあればやりたい」と話していたが、役者として復帰することはなかった。表舞台から遠ざかっていた理由を、水野はこう推測する。
「当時から、役者としての基準を常に高いところに置いていたプロフェッショナルな方でした。高齢になってセリフ覚えが悪くなってきたら、もう仕事は受けないと決めていたのだと思います。
露口さんは“俳優の仕事なんて自分のエゴだ“と仰っていましたが、だからこそ決して妥協せずにご自身の仕事に向き合ってきたのでしょう」
水野に語った“ハードボイルド”な教えは、露口さんの俳優としての生き様そのものだった。
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