■子守歌にデュエット……沙也加さんとの絆
それだけではない。近年ではより、聖子の心を揺さぶる曲になっているのだ。
「『赤いスイートピー』は、聖子さんにとって神田沙也加さん(享年35)との思い出の曲でもあります。沙也加さんが赤ちゃんのころから子守歌として歌って聞かせていたといいます。’05年に聖子さんと沙也加さんがCMで共演した際には『赤いスイートピー』が挿入歌として採用されました。
さらにその後も、聖子さんのコンサートに沙也加さんがたびたびゲスト出演してはこの曲をデュエットしていました」(音楽関係者)
しかし沙也加さんは’21年12月に急逝。
「出場予定だったその年末の『NHK紅白歌合戦』では、聖子さんは『赤いスイートピー』を歌う予定だったとも聞いています。ですが沙也加さんの訃報を受け、出場を辞退。以降、一度も『紅白』には出場していません。
それどころかテレビにもほとんど出演しなくなりました。ファン向けのコンサートは精力的に続けていますが、今も深い悲しみのなかにあり、不特定多数の目にさらされる機会を避けているのです」(芸能関係者)
愛娘が生まれてから亡くなるまで――。母娘の絆の証しでもあった『赤いスイートピー』。いまや聖子にとっては、悲しい記憶とひもづく曲になってしまった。
しかしその曲を“明菜になら歌ってほしい”と聖子が思えたのには、“同志”ならではの特別な関係があったようだ。今回のコラボの背景を前出の音楽関係者はこう明かす。
「聖子さんは今年デビュー45周年を迎え、節目を盛り上げる企画のひとつとしてこのトリビュートアルバムが持ち上がりました。そこで制作サイドが“明菜さんに『赤いスイートピー』を歌ってもらうのはどうか”と提案したところ、聖子さんは快諾したといいます。
聖子さんは、23年前にもあった明菜さんとの“共闘”を思い出していたのかもしれません」(前出・音楽関係者)
23年前の共闘とは、’02年、明菜が『瑠璃色の地球』をカバーしたときのこと。
「実はこのときも『赤いスイートピー』をカバーするという案もあったそうですが、聖子さんのファンでもある明菜さんは“そんな人気曲、恐れ多い”として『瑠璃色の地球』を選んだそうです。
『瑠璃色の地球』は聖子さんが沙也加さんを妊娠しているときに制作されたもの。沙也加さんも“心が落ち着く曲”と話していました。『赤いスイートピー』と同様に、デュエットを披露したこともありました」(前出・音楽関係者)
のちに沙也加さんの急逝により『瑠璃色の地球』も聖子の悲痛を呼び起こす曲になってしまったが、
「明菜さんの当時のカバーは素晴らしいもので、名曲を見事に歌い上げました。悲しい思いが募る『赤いスイートピー』も、明菜さんなら歌いこなしてくれるという期待を込めているのでしょう」(前出・音楽関係者)
いっぽうの明菜も、願ってもない好機だと捉えているようだ。
「聖子さんに“明菜さんにこそ歌ってほしい”と言われたら喜びもひとしおでしょう。沙也加さんへの思いも背負うとなると荷が重いという部分もありますが、それだけ聖子さんから厚く信頼されているということでもありますからね」(前出・芸能関係者)
前出の音楽関係者は言う。
「明菜さんと聖子さんは30年近く対面していないと思いますが、これを機に交流が復活するかもしれません。聖子さんのコンサートには最近、槇原敬之さん(56)や松本隆さん(76)が訪れていました。そうした形で対面する日も遠くはなさそうです」
12月には沙也加さんの4回目の命日が待っている。明菜の歌声が沙也加さんの鎮魂歌になるはずだ。
画像ページ >【写真あり】超貴重な『紅白』のリハで隣り合う若かりし頃の明菜と聖子(他19枚)
