■漫才賞レースの常連になったたくろうが陥った“スランプ”
お笑いコンビ・チェリー大作戦の宗安聖(32)に勧められ、先輩であるきむらから赤木に声をかけて、たくろうは`16年3月に結成された。
「たちまち頭角を現し、コンビ結成3年目の‘18年に今宮戎マンザイ新人コンクールで新人漫才福笑い大賞を獲得。 ‘18年のM-1グランプリでは、結成3年目にして準決勝に進出しました。
関西で開催される漫才賞レースでは決勝の常連となりましたが、勝ち抜いて優勝するところまでは至らず。しばらくすると、決勝にも進めないスランプのような状態に陥りました。
去年久しぶりに、『第54回 NHK上方漫才コンテスト』の決勝に残り、一点差で優勝を逃すと、芸人仲間から『お前ら、いつになったら優勝するねん、ええかげんにせえよ』と厳しいツッコミが入ったそうです」
今回、たくろうがM-1グランプリで優勝した理由についてはこう分析する。
「優勝したM-1での漫才は、これまで彼らがやってきた漫才とは似ているようでまったく違うスタイルを取り入れたものでした。これまでの彼らの漫才は、きむらさんの常識的な振りに対して赤木さんがボケて、それにきむらさんがツッコむというように、2人でやりとりをしながら、お客さんを笑わせるオーソドックスなものでした。
ところが、今回のM-1での漫才は、最初からきむらさんが普通ではありえないような無茶振り。それに対して赤木さんが『えっ、俺は何を聞かれているのか?』と戸惑い、狼狽しながらも、思いつくままにいい加減なことを口走って笑いを取る。2人のやり取りは基本的にこの1ターンで完結し、これを繰り返す新しいスタイルに改良されていました。
きむらさんは赤木さんのことを普段から、『世の中で、こんなに面白いやつはおらへん』といい、彼のことを深く理解しています。どうしたら赤木さんを漫才の中で活かせるのかについて考え、ちょうど一年ぐらい前にふと思いついたのが、今回のM-1で披露したスタイルだったそうです。
試しにお客さんの前でやってみると、反応がよく、手応えを感じて、それ以降、約一年かけてこのスタイルを磨き上げてM-1に挑んだ結果が今回の優勝でした」
出演オファーが殺到しているというたくろう。`26年は彼らが待ちに待ったブレイクを果たす年になることだろう――。
