霜降り明星・粗品(写真:本誌写真部) 画像を見る

12月21日に放送された漫才日本一決定戦『M-1グランプリ2025』(ABCテレビ・テレビ朝日系)。過去最多1万1521組がエントリーした今大会は、決勝初出場「たくろう」の優勝で幕を閉じたが、特に今年は“審査”に注目した人も多かったようだ。

 

端緒となったのは、霜降り明星粗品(32)。12月13日に放送された『女芸人No.1決定戦 THE W 2025』(日本テレビ系)で初めて同大会の審査員を務めた粗品は、「1秒も面白くなかった」「賞金1000万円にしてはレベルの低い大会」などと超辛口ながら、論理的で説得力のある審査を行い、優勝したニッチェより注目を集めた。

 

さらに、同じく『THE W』で審査員を務めた笑い飯の哲夫(50)が17日に「粗品の時間はもうちょっと短くてよかったな」などとラジオ番組で苦言。それを受けて19日に粗品は自身のYouTubeチャンネルで「ちょっとダサすぎてしんどいかな」などと50分超の動画で反論した。

 

こうした流れから、今回『M-1』で2年目の審査員を務めた哲夫をはじめ、審査そのものにも注目が集まっていた。そこでお笑い評論家のラリー遠田氏に、今回の『M-1』の審査を振り返って解説してもらった。

 

まず、『M-1』で初めて審査員を務めたフットボールアワー後藤輝基(51)の審査ぶりについては「番組MC としてああいう場に慣れているのでソツがなかった」と評し、同じく初となったミルクボーイ駒場孝(39)の審査についてはこう話す。

 

「駒場さんは’19年に『M-1』で優勝しています。比較的最近まで大会に出ていた人なので、出る側の気持ちを理解しています。どういう思いでこの大会に臨んでいるかといった出場者の心理をよくわかっている感じがしました。

 

また、大阪を拠点に今も活動されているので、大阪の芸人には特に詳しい。今回優勝したたくろうは大阪で活動しており、駒場さんにとっては身近な後輩に当たります。彼らのこれまでの歩みをよくわかっているので、発言にも説得力があって、とても良い審査だったと思います」(以下、カッコ内はすべてラリー氏)

 

ラリー氏は、MCの今田耕司(59)も高く評価。番組冒頭の審査員紹介で、今田が哲夫を飛ばして紹介し、哲夫が「話題の人! 今、注目の人! 一番の注目の人! ネットニュース僕のことしか書いてない」と、粗品との騒動について触れたことをあげた。

 

「視聴者の中にも粗品さんと哲夫さんの件が気になっている人がいるはずなので、そこについて何も触れないというわけにはいかない。しかし、哲夫さんが自分からその話題に触れるのは難しい。

 

そこで、今田さんはあえて哲夫さんの順番を飛ばすという形でイジってみせたのです。哲夫さんはそれに対してツッコミをいれることで、自然に粗品さんの件を話題にすることができました。このやり取りによって哲夫さん自身の緊張もほぐれるし、その場の空気も温かくなるし、視聴者もすっきりする。今田さんは相当高度な技を見せてくれたと思います」

 

ラリー氏は、粗品による一連の騒動が今回の審査に与えた影響について直接的には「ほとんどない」とする一方、近年の流れとして審査スタイルは変化していると指摘する。

 

「長い目で見ると審査員が若返っていますよね。以前は上沼恵美子さん(70)やオール巨人さん(74)、立川志らくさん(62)など上の世代の人が入っていましたが、彼らは『M-1』に出たことのない世代です。

 

だから、若手芸人がどういう気持で『M-1』に臨んでいるのか、どういう戦略を立てて『M-1』の漫才を作っているのか、といった細かいところまでは理解が及んでいなかったりします。だから、そういう細部にはあえて触れずに、純粋に自分がその漫才を見てどういうふうに感じたかということを中心にして語っていました。

 

しかし、今の審査員の中には、駒場さんをはじめとする若手も増えていて、最近まで『M-1』などで審査される側だった人も多くなっています。だからこそ、出る側の目線に立った細かい技術的な部分や、ネタの構成などをちゃんと言葉にして評価する審査スタイルが増えてきているのです」

 

賛否あわせて注目度の高い粗品だが、ラリー氏は粗品が『M-1』審査員になることについては「期待している」と話す。

 

「『THE W』の審査であれだけのものを見せてくれたので、粗品さんに『M-1』でも審査員をやってほしいと思う人は多いでしょう。彼は『M-1』と『R-1』のチャンピオンですから、その資格もある。来年以降に審査員に加わる可能性はあります」

 

『THE W』や今年3月の『第14回ytv漫才新人賞決定戦』(読売テレビ)では審査員の粗品が話題を独占したが、『M-1』で審査員をした場合、その心配はないのだろうか。

 

「粗品さんは良くも悪くも目立つ存在です。結局のところ、『THE W』という大会自体の影響力よりも、粗品さんの影響力の方が強かったから、大会後に粗品さんばかりが話題になったわけです。でも、仮に粗品さんが『M-1』の審査員になっても、『THE W』のときのようにはならないでしょう」

 

その根拠に今回の大会前後での報道内容の変化をあげる。

 

「『M-1』前は、ネット上でも粗品さんの審査の話や粗品さんと哲夫さんの対立の話題が多く出ていましたが、終わって蓋を開けてみたら、もうほとんどの人が粗品さんの話はしていませんでした。大会そのものの評価や、誰が面白かったかなど、大会の内容一色です。やっぱりそれだけ『M-1』自体がコンテンツとして強いということです。

 

粗品さんは発信力、影響力のある人ですが、現時点では『M-1』もそれ以上に強力なコンテンツなんですね。ただ、粗品さんの一連の騒動で、視聴者がお笑い賞レースやその審査について今まで以上に関心を持って見たかもしれないので、そこには一定程度の影響があったかもしれません」

 

また今回は、ダウンタウン松本人志(62)が審査員から外れて今年で2回目の『M-1』となったが、彼の不在は影響しているのだろうか。

 

「これもさっきの話と一緒で、結局『M-1』そのものが強いので、松本さん不在の影響があんまり目立たないですよね。もちろん松本さんは長年審査員を務めていたし、『M-1』の権威としての存在感は大きかったのですが、『M-1』という大会そのものの存在感がそれ以上に大きいので、持ちこたえているのだと思います」

 

普段はお笑いを見ない人でも、ついつい見た後に漫才について語り始めたくなる『M-1』。その底力は計り知れない。

画像ページ >【写真あり】賛否あわせて注目度の高い粗品(他2枚)

出典元:

WEB女性自身

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