■「結婚しているわけではないんです」
映画関係者が続ける。
「東大出身ということもあるのか、ボキャブラリーも豊富で、とにかく話が面白いのです。『太陽を盗んだ男』のキャスト候補だった萩原健一さんや、主演の沢田研二さんとのエピソード、撮影現場での秘話など、話題の9割は映画関係でした。
以前と変わらず“バカヤロー”“コノヤロー”を口癖のように連発していて。大好きだったお酒は禁じられていたそうで、『いまはお酒よりアイスクリーム』なんて言って笑っていました」
この映画関係者の前では元気であるように振る舞っていたのだろうか。だが“妻”である室井の目から見た監督の姿は異なっていた。
昨年1月、本誌は施設での介護生活について取材を申し込むと、室井は次のように明かした。
「(長谷川は)肺がんやパーキンソン病を患っていて……。家から何回も救急車で運ばれましたし、食事制限やリハビリも必要ですから、家ではみられない状態で」
室井は、FMとやまの冠番組『室井滋のしげちゃん☆おはなしラジオ』にレギュラー出演しており、さらに’23年には富山の県立博物館「高志の国 文学館」館長に就任し、東京と故郷・富山を行き来している多忙な身だ。
本誌の取材に対しては、事実婚関係での介護への葛藤もにじませていた。
「本人は映画を撮りたいと(知人らの前では)強がっていますが、今日も病院に行ってきたところです。私たちは結婚しているわけではないんですよ。もともとそういう関係性でもなく、私が面倒みなくてはいけないということではないのですが、(長谷川は)お金はないので、面倒はみています」
室井はかつて夕刊紙の連載でも、事実婚ならではの“壁”について明かしていた。監督が寄生虫(アニサキス)による激痛に襲われ、救急搬送されたとき、“名字が違うから”という理由で、病院からも病状を教えてもらえなかったというのだ。
「株式会社ねこの手」代表で、介護コンサルタントの伊藤亜記さんはこう話す。
「一般的には事実婚関係だからといって介護の際に大きなデメリットがあるわけではないと思います。ただ病院や施設によっては、“自分たちはパートナーである”という証明書がないと扱いが違ってくるケースはあるようです。
また弁護士さんによれば、たとえばパートナーが病気や事故で倒れて、手術の同意や治療方針の決定が必要になったとき、パートナーのほかに子供やきょうだいなどの家族がいる場合は、病院はそちらの意見を優先するそうです。いちばん確実なのは2人の関係継続の意思の合意などを公正証書として作成しておくことでしょう」
昨年の本誌の取材に対しては、“私が面倒みなくてはいけないということではない”などと語っていた室井だが、長年連れ添った長谷川監督への思いは深かったようだ。
「ゴジさんの施設に女性のお客が訪ねてきたと耳にしたときには、室井さんはヤキモチを焼いて、ゴジさんに“その女性とはどんな関係なのか”と問いただしていたそうです。室井さんは最後までゴジさんのことが大好きだったのでしょうね」(前出・映画関係者)
最新作の構想を胸に秘めたまま、女優・室井滋の心を盗んだまま、伝説の監督は旅立った。
画像ページ >【写真あり】90年、コンサート会場に現れた室井滋と長谷川監督(他3枚)
