現在放送中の連続ドラマ『Tシャツが乾くまで』(TBS系)が、主婦を中心に話題を呼んでいる。『Tシャツが乾くまで』でメインキャラクターを演じる蒼井優、松山ケンイチの共通点は、昭和60年生まれ。
じつは同年生まれは綾瀬はるか、宮﨑あおい、松田翔太、山下智久など、演技派俳優を多く輩出するゴールデンエイジなのだ。
なぜ昭和60年(1985年)生まれの活躍が目覚ましいのか。「マイルドヤンキー」「さとり世代」等のワードを生み出した、芝浦工業大学教授でマーケティングアナリストの原田曜平さんが語る。
「昭和60年生まれを表現するなら、新旧ハイブリッド世代かもしれません。ガツガツと自然体、アナログとデジタル、バブル経済と失われた30年、さまざまな意味でハイブリッド、二刀流といえます」
なかでも、氷河期世代(昭和45年~59年生まれ)とゆとり世代(昭和62年~平成16年生まれ)の狭間にあると注目するのは、世代・トレンド評論家で、立教大学大学院客員教授の牛窪恵さんだ。
「氷河期世代は、バブル時代の終焉によって、就職が困難を極めたため、大量採用されたバブル世代に比べて時代に損させられたと感じつつも、泥臭く頑張る。就職直後に大企業がつぶれたり、幹部が謝罪会見に追い込まれたりしたため、間違ったものを正そうとする正義感が強く、白か黒かはっきりさせたい傾向があります」
一転、ゆとり世代は物心ついてからは個性が尊重された。
「競争や順位をつけるのもやめよう、円周率を3としよう、自由を尊重しようとの時代。また、インターネットやSNSが普及し、自分の苦しみを匿名でオープンにして、共感しあう傾向があります」
氷河期世代とゆとり世代で価値観が大きく、しかも急速に変わっていくグラデーションの中心に昭和60年生まれがいるため、双方の特性を併せ持っているだという。前出の原田さんも補足する。
「昭和60年生まれの俳優がデビューしたころは、撮影現場には昭和的なドロ臭さが残っており、根性論を振りかざす俳優や監督への対応も求められたはず。さらにテレビ局の制作費が削減されてきた時代です。こうした厳しい時代を生き抜く力強さがあります。一方、ゆとり世代以降の後輩との仕事現場が多くなりますが、個性を尊重したフラットな考え方も持っているため、うまく協調していける。上の世代にも下の世代にも共感できるのです」
硬軟を柔軟に使い分けて、器用に立ち回れるということだ。さらに牛窪さんが着目するのは“葛藤力”だという。
「昭和60年生まれは、人間の価値観の形成に大きな影響を与えるとされる14~15歳で、ミレニアム(2000年)を迎えました。経済は不安定、発展の裏の環境破壊が問題視され、ノストラダムスの大予言もあるなか、世紀末的な不穏な空気が流れる時代。
SNSが未発達で、自分の思いを発信する機会が少なかったため、自分の中でこうした不安と向き合い、解決しようと葛藤を抱える傾向が強かったと思います」
内省するからこそ、「人間的な深みが増し、役者としても演技の振り幅が大きくなるのではと考えられる」と、牛窪さん。また、視聴者層が昭和60年生まれ俳優を求めているという。
「これだけ少子高齢化でテレビ離れが進んでいるため、思い切り若者に寄せたドラマはウケません。視聴者のボリュームゾーンになっているのが、テレビ世代だった40代から50代のため、昭和60年生まれの俳優が中心となるドラマが、いま求められているのではないでしょうか」(原田さん)
昭和60年年生まれ俳優が活躍する一方、1年早い昭和59年生まれには、田中圭やベッキーといった、不倫疑惑でつまずいたタレントも。
「1年の違いですが、わずかに昭和寄りの悪い傾向が出てしまったのかもしれません」(原田さん)
昭和根性論&ゆとり個性主義の二刀流世代の快進撃は続く。
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