0806261[E:note]16歳で地元のカラオケ番組に出演してマライアの「恋人たちのクリスマス」で優勝、それがきっかけで業界から声がかかり、その後北海道でインディーズを2枚リリースされています。1枚目『The Roots』はカヴァーアルバムですね。
福原 私の核になっているのはやはり洋楽だったので、彼らアーティストに尊敬の意を表明したいという想いで作りました。その後、日本でリリースするということは、日本語で歌わないといけないなと思ったんです。それで日本語の歌を初めて歌ってみたんですが、自分でも何を歌っているのかわからなくて。歌詞の意味がきちんと歌えている実感がなくて、あまりライヴでは歌えなかったんです。
[E:note]でも諦めずに歌いつづけた?
福原 はい。デパートのインストアライヴで、2枚目のアルバム『Step☆Out』にも入っている「Release」という歌を歌ったとき、お客さんの反応がそれまでと違いました。それまで「カッコいいね」と言われることはあったんですが、そのときは私のことを知らないお客さんが立ち止まって泣いてくれたんです。それに感動しました。これが伝わるということなんだな、届くということなんだなと思いました。このアルバムは5曲入りで、他の3曲も日本語なんですが、やはり自分で書いた言葉を歌うときと自分で書いていない言葉を歌うときの気持の入り方がこんなに違うんだと感じて。自分から生まれた言葉を自分が歌う責任というか、それで歌はようやく届くのだということがわかりました。まるで新しい自分を見つけたくらいの衝撃でした。
[E:note]なるほど。歌詞はメロディと一緒に降りてくるんですか?
福原 曲を聴いてから歌詞を書くことが多いです。曲から引き込まれて、そのインスピレーションから言葉が生まれるので。
[E:note]歌詞を書くという作業はどうですか?
福原 吐き出して楽しいときもあります。恋愛で相手に言えないようなことを歌詞で言えたりして、「よし!」と思ったり(笑)。でも、だいたいは自分の生活から歌詞が生まれるので、プライベートの想いを歌詞に映し出していくときに、泣きながら書いたり、ボロボロになって辛いとこはあります。ただ、それを歌うと、聴いてくれる人の顔を見て自分も癒されたり、前に進めたりするなと思うんです。だから書いてよかったなと思います。

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[E:note]「CHANGE」のレコーディングが終わったあと、今年2月にL.A.のブルッキンズ・コミュニティ教会でゴスペル隊と一緒に歌っていますね。日本人として初めてのことであり、この教会の220年の歴史を変えた“奇跡の子”とまで賞賛されましたが、福原さんご自身はその経験により、「音楽のとらえ方が180度変わった」と発言されています。これは具体的に言うとどう変わったのですか?
福原 18歳で(インディーズ)デビューして、一番の「趣味」でもあった音楽を「仕事」にしたときに、妥協や不安を感じる部分がすごくあったんです。でも今回L.A.の教会に行って、みんな思ったこと、感じたことをそのまま歌にしているんだなと感じた。生活と歌が共存しているというか、精神と音楽が同一上にあるというか、彼らにとって歌というのは自分が生きていくためにとても大事なものなんです。それがわかったとき、私も音楽を純粋に楽しめばいいんだと感じました。ステージに立つときにいろいろと考えることもあるけれど、まず楽しむこと。それが歌に一番必要な、シンプルで重要なことであるということを、彼らに教えられました。だから今は歌うことが楽しくて仕方ない。いつまでもそういう気持で歌っていきたいです。

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