川嶋あい 私が伝えたいのは“人間愛”なんです
川嶋あいが本誌「シリーズ人間」で、産みの母の存在と両親の他界について初告白したのは、05年のことだった。
「いまでも両親の仏壇には、その号を飾ってあるんです」
と言うあいは、この4年で20歳を過ぎ、人間的にも大きく成長を遂げていた。
新曲『大好きだよ』は恋愛の機微が明るく歌われるミディアム・ナンバーだが、
「いまはメールも発達していますが、『大好きだよ』という気持ちを直接向き合って、口に出して言うことこそ、すごく大事だと思うんです。この曲を、単に男
女の恋愛ということに限定せず、親子、親友…いろんな形にあてはめて聴いてほしい。私が伝えたいのは“人間愛”なんです」
ここ数年、あいは発展途上国に小学校を建設するという社会貢献活動を始めている。
NGOやNPOで活動している人々に会い、現状を学び、「自分にできることはなにか?」を考えて出したのが、「教育での貢献」だった。
年に1校のペースで建設を初め、現在で6校目だという。
「実は、発展途上国の子たちへの貢献は、中学2年生のときからずっと念願していたことなんです。福岡にいたころ、ニュースで発展途上国の貧困、飢餓、戦争
で苦しんでいる子たちのことを知りました。みんな日本人と同じように、豊かに安心して毎日を送っているものとばかり思っていた私には、衝撃的だった。子ども心にも『なんとかせんといかん!』と思ったんです」
歌を始めたのは母の期待に応えるためだったが、次第にそのモチベーションも、あいのなかで強くなっていたのだ。
「だから、『音楽でいただいたお金は、ぜんぶそのために使いたい』と思って、これまで活動してきたんです」
こちらが思わず「偉いね…」とつぶやくと、あいは、
「いえ、偉くなんかないです。本当に、やりたくてやっていることなんですから」
08 年には実際、カンボジアの小学校の開校式に参加したが、「宣伝だと思われたくないから」とマスコミの取材依頼はすべて断ったという。
「私が発信したいのは、世界中の子どもたちが幸せになってほしいという願い。『生まれてきた命が犠牲になることのないように』と考えて、実行していきたい。それが、私のライフ・ワークです」
かわしま・あい★
1986年2月21日、福岡県生まれ。3歳で音楽教室に通い出し4歳で初ステージ、天才演歌少女として注目される。01年、本格的なデ
ビューを目指し上京。渋谷の路上で支持を集め、03年には『明日への扉』でチャート1位を獲得。新曲『大好きだよ』は日本テレビ系情報番組『TheサンデーNEXT』のエンディング・テーマにもなっている。