先日、自身がメンバーとして参加するバンドで第53回グラミー賞「Best Contemporary Jazz Album」を受賞したことが、記憶に新しい上原ひろみさん。
NEWアルバム『VOICE』のリリースにあたり、彼女のピアノや音楽に対する情熱と愛情、今後の目標、そして『VOICE』について、うかがってきました。
*上原ひろみ(うえはら ひろみ)
1979年3月26日生まれ。静岡県浜松市出身。6歳からピアノを始める。数多くのCMソング等を手掛け一躍有名になる。2004年には日本ゴールドディスク大賞でジャズ・アルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞。華々しい活躍を続ける、今世界で最も注目されているピアニストの一人。
NEWアルバム『VOICE』
上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト
フィーチャリング・アンソニー・ジャクソン&サイモン・フィリップス
発売日:2011年3月16日 日本先行リリース
―グラミー賞を獲った実感はありますか?
上原 みなさんが祝福してくださるんです。みなさんが喜んでくれるのが嬉しいですね。
授かりものなので、ありがたいなと思っています。
―手ごたえはありましたか?
上原 自分としては、いつも手応えを持ってやっているので、今回はグラミーと御縁があったのかなと思っています。
―今回の『VOICE』…このアルバムを作るにあたって、今回はこうしようとか考えていたんですか?
上原 もともと『VOICE』というのは、発する声というより、内の声をテーマにしていたので、感情をクリッピングするように気持ちを汲み取るようにして制作していました。
―上原さんが思う、内から出てくる声というのはどんなものですか?
上原 ひとつひとつ曲によってストーリーがあって、アルバムを通して小説だったり、映画だったり、と大きな流れのある物語になればなと思って作りました。自分自身、すごく感情に触れる機会が多くありました。毎日、旅から旅へと生活する中で、たくさんの人との出会いや別れがあって、すごく感情の密度の濃い生活をしているので、そういうアンテナが敏感になっていますね。
―今回のアルバムの制作中、感じいるところは?
上原 アンソニー・ジャクソンとデビューアルバムと2枚目のアルバムでお仕事をさせてもらいまして、今度はフルでアルバムを作りたいと思っていました。やっとタイミングが来て、こうして一緒に作れることができました。『VOICE』を作るに当たって、曲を書いていくうちにドラムの音も明確になってきましたし、サイモン・フィップスだなと思って。一緒に彼らと演奏して、自分の演奏を支えてくると思いましたね。こういうベースがあるから、こういうピアノが奏でられるんだなとか考えていました。色んな発見があって楽しかったですね。
―サイモンと一緒に仕事をして、自分の演奏は活きたと思いますか?
上原 そうですね。サイモンにもアンソニーにも自分のピアノが活かされたと思っています。
―二人の演奏との共演でなにか自分の演奏に変化はありましたか?
上原 自分の持っていない音楽に引きづられそうにもなりましたが、聴いてみて、水を得た魚のようですごい良かったです。