『Lの世界シーズン5』“レイチェル・シェリー”スペシャルインタビュー!
レイチェル・シェリー(以下R)コンニチワ。
——コンニチワ。
R (日本語で)私はレイチェルです。
——おおお〜!
R (日本語で言えるのは)これだけなのよ。
(全員 笑)
R ちょっと待ってね(日本語で)。昔日本に住んでいたことがあるの。
——本当ですか?
R ええ。
——いつのことですか?
R 私が18歳ぐらいの時、半年ぐらいね。レストランで働いていたの。ヌードル・レストランでね。昔は数字も言えたのよ。メニューにあるものもたくさん言えたの。(笑)でもかなり忘れてしまったわ。
——今ファイナルシーズンとなる6シーズン目を撮影中ですが、あなたにとってこの6年はどういうものでしたか?あなたのキャラクター、ヘレナは最初と比べるとかなり変わったキャラクターだと思いますが、そのあたりも含めてどうだったか教えて下さい。
R 私はニ年目から参加したから、私にとっては5年間なの。でもその間、確かにキャラクターは相当変わっていったし、成長していったわ。それは素晴らしいことよ。その方が演じるのもおもしろいし。私が始めた頃、私のキャラクターはとってもきつかったの。彼女のことを好きな人は誰もいなくて、少し意地悪で残酷なの(笑)。特にベットに対してね。そして彼女の身にいろいろなことが起こって彼女は変わっていったのよ。それは素晴らしいことだったわ。それはファンタスティックよ。キャラクターにとって、自分自身を試され変わっていくようなことを経験したり、自分の計画や考えを見直すのは素晴らしいことだと思うの。ヘレナにとって最も重要だったことの一つは、彼女が一緒にいる人たちとの人間関係を見直したことなの。彼女はとても絆が強い人々のグループに入り、そこで経験したことが彼女をその人たちにもっと近づけることになった。そういうことはそれ以前にはなかったことなの。それは素晴らしいことだったわ。なぜなら、女優として、すべてを持った人間とまったく何も持たない人間を演じることが出来たわけだから。そういう役を演じるのはとても興味深かったわ。ドラマもやれるし、コメディもやれるし、とても素晴らしかった。素晴らしい経験だったわ。
——この番組をやる上で一番のチャレンジはなんでしたか?
R 一番のチャレンジは、、、実際、私は二つのレベルで多くのことを学んだわ。今もそうなんだけど、この番組における経験について答えるとき、いつも答えが二つある感じがするの。女優としての私、レイチェル・シェリー個人としての答えと、キャラクターとしての答えの二つがね。個人的には、自分の生活をロンドンからカナダとロサンゼルスに移すことになったの。ヨーロッパの人間だったのが突然西海岸にいるようになってしまった。それはチャレンジだったけど、私が楽しんでいることでもあるの。でも、とても大きな変化だったわね。女優としては、インディペンデント映画や多分最長でも4ヶ月ぐらいの作品の仕事や、TVのエピソードの仕事をやっていたのから、5年も続く仕事をやるようになったわけで、まったく違うものだったわ。信じられないほど素晴らしく、同時にとてもチャレンジングなものだったの。なぜならもっとずっと時間やコミットメントを必要とされるし、深く関わらないといけないものだからよ。でもそのことで助けられたの。なぜなら、何年も何年もこのキャラクターを知っているということで、このキャラクターをより良く演じることが出来たからよ。
(セットを作っている音が聞こえてくる)
向こう側のセットでは大掛かりなチェンジをやっているみたいね。
確かにチャレンジだったけど、多くのことを学んだわ。映画だけをやっているのとはかなり違うTV番組をやることでね。それはキャラクターを演じるのにとても役立つことなの。なぜならそのキャラクターに本当にヒストリー(過去)があるわけだから。別にキャラクターのバックストーリー(過去の話)を作る必要はないの。そこにすべてあるわけだから。すべてがリアルなの。実際に自分が演じてきて、いろいろな人に会ったわけだから。だから助かるのよ。
——あなたは日本に住んでいたとおっしゃっていました。
R ええ。
——この番組は日本やアメリカ、イギリスと世界中で愛されています。それはなぜだと思いますか?
R 人々がこの番組が好きなのには多くの理由があるわ。まず一つの理由としてとても面白いというのがあるわね。とっても楽しいでしょ。エンターテインメントだし、軽いしね。また、この番組の人気がある理由の一つは、女性がメインの番組がほとんどないことにもあると思うわ。女性が男性キャラクターの付属物じゃないものはほとんどないからね。私たちは彼らの兄弟や妻というわけではないの。私たちは男の人たちのために働いているわけじゃない。そういうことを(この番組が)描いているんじゃないのよ。私たちのアイデンティティはどこまでも女性なの。そういうのは人気が出ると思うわ。なぜならテレビで他にこういったものをやっていないから。私たちが語るストーリーは、本当の人々に起こる本当のストーリーなの。時にはリアリティが多少誇張されるかもしれないけど。人々はテレビで友だちのグループみたいなものを見たいと思っているのよ。「フレンズ」がとても人気があったのは、素晴らしい友だちのグループをテレビで描いたからなの。人々はそういうのが好きなのよ。彼らはその(グループの)一員になりたいと感じているの。私はそういう理由で「フレンズ」の大ファンだったから分かるのよ。彼らのことを知っているかのような気になるの。人々が「Lの世界」を見る理由のある部分は、彼らが私たちのことを知っているように感じるからなのよ。ファンに会うと彼らが私たちにある種の親しみを感じているのが分かるの。それは素晴らしいことよ。なぜなら彼らが自分たちのことを知っていると感じているわけだから。彼らは私たちと一緒に変わり、成長し、学んでいると感じているの。この番組ではいいストーリーを語っているし、見た目も素敵なの。「セックス・アンド・ザ・シティ」と同じように楽しい服が出てくるしね。エンターテインニングだし楽しい番組なの。だから人々はこの番組が好きなのね。「セックス・アンド・ザ・シティ」は明らかにもう一つの女性番組よね。でも同時にあの番組は女性のグループから見た外の世界についてのものでもあるの。彼女たちと男性たちとの関係を見つめたものなの。女性でありレズビアンであるから、私たちはとても内面的で、そういったことが私たちの絆をより強いものにしている。チャートは明らかにそのことを反映しているわ。実に強烈な女性のグループで、みんなもその点を気に入っているんだと思うわ。
——日本にいた時はどこにお住まいでしたか?
R 東京の端っこだったわ。ディズニーランドの近くの。チバだったかしら?
——そうですね。
R 千葉かしら?正式には東京の端だったと思うわ。私が大学に行く前だったの。私の叔父が日本で英語の学校を経営していたから日本へ行ったのよ。私も少し教えていたわ。叔父の日本人の奥さんと彼女の両親がヌードル・ショップを持っていて、そこでよくランチタイムにウェイトレスをしたの。そして英語を教えたり旅行したりしたの。日本中を旅行したわ。素晴らしい時を過ごしたの。大好きだった。以前は少し日本語を知っていて、今それを必死に思い出そうとしているんだけど思い出せないわ。オイシイ(日本語で)?合ってるかしら?美味しいという意味よね。それぞれの言葉がどういう意味かわからないけど、そういうフレーズは知っているわ。
R イラッシャイマセ(日本語で)。よく大声でそう言ってたわ。
——ヘレナという役を演じることで、あなた自身の思想や固定観念が変わったということはありますか?
R 私自身の個人的な考えが変わったか、、。
——もし変わったとしたら、それがどのように変わったか教えてください。
R それはとても難しい質問ね。どう変わったかね。分からないわ。セクシュアリティに関して?それともいろんな意味において?
——セクシュアリティに関してです。
R それはないわ。私たちの間でこの番組についてのちょっとしたジョークがあったの。もし自分自身の性的なアイデンティティに興味があれば、「Lの世界」に関わることで、明らかにそれが表に現れてくるの。自分の性的なアイデンティティに疑問を持っているとしたらね。私自身はずっとそういったことにオープンだったと思っているわ。ゲイの友人もたくさんいるし。私は今男性と付き合っているし、今後それが続くことを期待しているけど、女性と関係を持つことは絶対にない、と言いきることは決してしないわ。そんなこと誰にも分からないし、絶対ないとは言わないわ。でも多分他のことにおいては私は考えを変えたわ。ロスに住むことについて、アメリカでの生活、カナダでの生活についての考えをね。でも特に性的なアイデンティティについてはそうでもないわ。さっきも言ったけど、私にはたくさんのゲイの友だちがいる。だから私にとって新しい世界が開かれたというのではなかった。私にはレズビアンの友人はほとんどいなかったから、レズビアンのカルチャーについては明らかに自分が思っていた以上に多くのことを学んだけどね。でも別にショックキングだったり驚くようなことはなかったわ。
——あなたはヘレナのキャラクターとどう向き合っていますか?彼女の好きなところと嫌いなところ。また、自分と重なるところがあれば教えて下さい。
R ヘレナのことは好きよ。ヘレナのことは時間が経つほど好きになっていったわ。最初はとても興味深かった。なぜなら私がイギリスで演じていた役はほとんどとてもイノセントなキャラクターだったからよ。虫も殺さないような顔つきをしているの。少しメリー・ポピンズのようなキャラクターだった。私はそういうのをよく演じてきたわ。だからアメリカに来て、ベットの強敵でとても意地悪で策略家で野心的なキャラクターを演じることは、私にとっては大きな変化だった。そしてその役をものにするために私はいつもより一生懸命やる必要があったの。なぜなら邪悪な人間を演じるのは簡単ではないからよ。彼らがなぜそういったことをするかを理解して、彼らの動機を明確にしないといけないの。私自身は人間は悪になるように作られてはいないと思っているの。だから自分の頭の中でストーリーを作って、自分の行動が納得いくものにしていったの。でも時間が経つにつれ、私はヘレナが好きになっていったわ。彼女はよりリラックスするようになったし、リアリティ・チェックを強いられるような状況に置かれるようになったの。「人生は楽じゃない」「誰もが多くのお金を持っているわけじゃない」「人生は違ったものだ」といったようにね。だから、彼女のことは間違いなく前より好きになってるわ。私たちには似てるところと同じぐらい違うところがあるの。ヘレナはこの友だちのコアなグループの真ん中にいるわけじゃないの。彼女はいつも少しその外側にいるの。まったくの孤独というわけじゃないけど、彼女には独自のものがある。彼女は自分だけのプライベートな場所が好きなの。それは多分とても私と似ている点なの。これぐらい長い番組をやっているときはいつでもそうなんだけど、いかに何人かのキャラクターたちが役者自身のようになっていったり、役者が演じているキャラクターのようになっていくかが見れておもしろいの。その両方が並行して進んでいくのを見るのはとても興味深いわ。ヘレナがみんなの少し外側にいるのは多分私から出てきたことだと思うわ。役者としての私からね。分からないけど、おもしろいわよね。でもそうね。私はますますヘレナのことを好きになっているわね。もっとね。
——あなたはこの番組でかなり多くのシーンを撮影してきたと思いますが、その中で特にチャレンジングだったり、一番印象に残っているものはありますか?
R もっともチャレンジングなのものね。とてもチャレンジングな瞬間はあるわ。でもそういうのはテレビや映画をやっている時はいつでも起きることなの。そこではよく急にタイム・リミットに見舞われたりするものよ。そういうのは毎週仕事をしていればよくあるわ。突然とても重要なシーンをやらないといけなくなるんだけど、自分が撮影に必要だと思う時間の半分ぐらいしか時間をもらえないの。そういうのはいつもチャレンジングだわ。そういうのがシーズン3の最後であったのを覚えているわ。それはとても大変だった。私がやらないといけなかったシーンは私が泣かないといけないものだったの(笑)。そして実際それを撮影するのに10分ぐらいしかなかったの。それはとても大変でとてもチャレンジングだったわ。なんとかやり遂げたけど。でもいつもそういった問題があるの。それが普通の映画作りなのよ。いつも大変なの。いくつか記憶に残っているシーンは丁度バスケットボールのシーンをやっている時だったわ。みんなもそれが楽しかったと言っていてたわね。私たちはそのシーンをやりながら大笑いしていたの。今日私たちが撮影しているシーンについて私は話せないけど、それはとてもおかしくて印象に残るものになると思うわ。みんなが「チャーリーズ・エンジェルス」のシーンを覚えているかどうか分からないけど、私たちはヘアーを変えて撮影したの。私はカツラを被ってドレスアップしたんだけど、とてもおもしろかった。最高におかしかったわ。みんなカツラを被って、飛び回っていたの。フェイクのバンドがいてね。最高に楽しかった。リーシャがこんな大きなヘアーをやったんだけど、それが飛んでしまったのを覚えているわ。みんなが「オーマイ、ゴッド」ってなって、スタッフ全員が笑い転げてしまったの。すごく可笑しかったわ。たくさんのコメディをやるのは私にはちょっと慣れないもので、とてもチャレンジングだったわ。私はいつもリーシャに聞くけど、、、アリス役のリーシャを演出する人は誰でも彼女に助けを求めるの。なぜなら彼女にはナチュラルなコメディの才能があるからよ。私はその彼女の横で真面目(ストレート)な女の子を演じているって感じかしら。それはセクシュアリティのことではなくユーモアにおいてストレートという意味だけどね。でもとにかく私たちはお互いにうまく演じているわ。でもコメディにおいては間違いなくリーシャに助けを求めたわ。それはとてもチャレンジングだったの。今までにはかなり多くのシーンがあって、振り返るといろんなことを私たちはやってきた。いくつかとても素敵な場所で撮影したしね。ある夏、ヘレナの家をカリフォルニアのズマ海岸で撮影したわ。マリブの近くの。それは美しくて思い出深いものだった。今までに私たちは実に多くのことをやってきて、とても素晴らしかったと感じているわ。自分たちがやってきたすべてのことを振り返ってみるとね。
——番組のほとんどはここバンクーバーで撮影されています。仕事をしていないときは、バンクーバーでどんなことをして過ごしているのですか?
R ここで働いていない時ね。私たちは夏にここにいたんだけど、グレイトだったわ。私は人々がバンクーバーについてどのぐらい知っているか分からないけど、私は(この街を)知ることなって、とっても気に入っているわ。私の家があるロンドンと比べたら驚くほど素晴らしいわ。天気がよければすべてがあるの。テニスをたくさんやったし、ハイキングにも行ったし、泳ぎにも行ったわ。訪れるのに素晴らしい場所があるの。ここの自然は大好き。山に行ったり、セーリングするのが好きなの。セーリングはあまり得意ではないけど、そういうのも少しやっているのよ。もしもアウトドアが好きで、フリーの時間があれば素晴らしい場所よ。サイクリングに散歩にテニスに水泳が出来るから。本当にとってお素敵な場所なの。天気がよくないとちょっと厳しくなるけど。でも私たちみんなはここでとてもいい時間を過ごしているわ。とてもいいレストランがあるし、本当に退屈だったら、DVDを見たり本を読んだりするの。今年はいつもよりグループでの撮影が多かった気がするわ。みんな一緒のシーンがね。だから前の年より今年は休む時間が少なかったように思うわ。だからあまり時間を潰すようなことはなかったの。でもいつもずっと多くの人たちが周りにいる気がしていて、必ず誰かがどこかにいってなにかをしたがるの。実際とてもナイスな時間を私たちは過ごしているわ。
——ロンドンから離れてここで仕事をすることのアドバンテージはなんですか?
R アドバンテージね。役者にとってはずっとたくさんのチャンスが間違いなくハリウッドにはあると思うわ。そしてハリウッドがバンクーバーにやってくるといった感じなの。だからアドバンテージはそこにあるの。イギリスの映画やテレビの業界はとても小さいの。ここにはもっと仕事があるし、ギャラもいいから素晴らしいわ。それは気に入っている点ね。私個人としてはたくさんのディスアドバンテージがあるけど。なぜなら家からかなり離れているし、バランスをとらないといけないことがたくさんあるから。家に何度も帰るようにしたし、自分の家族をここに呼んだりもしたわ。でも(ここにいることは)大体においていいことだし、アドバンテージだと感じているわ。バンクーバーは間違いなく好きだし、これで「Lの世界」における私の時間が終わったとしても、それが私にとってのバンクーバーの終わりにならないことを期待するわ。なぜなら私はまた戻ってきて、もっとここで時を過ごしたいから。
——あなたとヘレナの関係において、ディランとの関係が一番印象に残っていますか?この番組で一番素敵だと思うカップルは誰だと思いますか?
R この番組でのベストカップル?それは決まっているわ、、、私が何て言うか分かってるでしょ。それはベットとティナに決まっているわ。彼女たちは最初からいて、最後までずっといるんだから。あの二人の相性は素晴らしいわ。みんなもそれについては同意すると思う。彼女たちは一緒に実に多くのことを経験してきているけど、観客はそれでも二人に一緒にいてもらいたいと思っているの。彼女たちは間違いなく、この番組の中心となる関係なの。だから彼女たちがバラバラになると、友だちのネットワーク全体がバラバラになってしまうの。二人が一緒にいると見た目もとてもいいしね。女優として彼女たちはとてもうまく仕事をこなしている。彼女たちはパーフェクトなの。二人が一緒にいるのを見るのはファンにとって楽しいことだと思うわ。私たちへの(ファンからの)フィードバックがいつも「ベットとティナは一緒にいないとだめ」とか「私たちは二人に一緒にいてもらいたい」とかいったものなのを、私は知っているわ。彼らはとてもうまくいっているの。もしも彼女たちの関係がうまくいなかったら、番組全体がまったく違うものになっていたと思うわ。もしもベットとティナが私たちの中心となるカップルでなかったらね。私たちは彼女たちが一緒にいるのが大好きなの(笑)。
——ありがとうございました。
R サンキュー。アリガトウ。
れいちぇる・しぇりー★
’69 年8月25日、イギリスのスウィンドン生まれ。1歳の時からロンドンで育ち現在もロンドン在住。シェフィールド大学で演劇の学位を取得し、94年ジェームズ・ベルーシ主演のTVシリーズ『ロイス』でデビュー。主な出演作に『エヴリバディ・ラブズ・サンシャイン』(’99)、『ディアブロ悪魔生誕』(’00)、TVシリーズ『ミス・マッチ』(’03)、『ゴースト~天国からのささやき』シーズン2(’07~’08)など。最新作は英国ホラー『The Children』。
『Lの世界』シーズン5
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