劇団四季とディズニーのミュージカル『アイーダ』 主役のアイーダを演じる濱田めぐみさんにインタビュー!
10月3日、電通四季劇場[海]で開幕した、劇団四季とディズニーのミュージカル『アイーダ』。オペラでも有名な世界最古のラブストーリーに、エルトン・ジョンの劇的な曲が耳に残る名作だ。
主役のアイーダを演じる濱田めぐみ(37)の意気込みも、半端ではない。
「初演から1回も欠かさず、始まる前に『この舞台が今まででいちばんの舞台になりますようによろしくお願いします』ってエジプトの神々に必ずお祈りをしているんです。それをしないと始められないっていうか。6年前は力を振り絞って歌っていましたが、今はパワーが充満できたところでポンと発散できるようになりました」
ヌビア国の王女でありながら、敵国エジプトに捕まり、奴隷に身をやつすアイーダ。彼女が登場するだけで、舞台に気品が漂い、空気が凛と張り詰める。それほど気迫が必要とされる舞台なのだ。
「役づくり大変でしょうって言われるんですが、それがね、そうでもないんです。『ウィキッド』のエルファバのときは疎外感や絶望感を後づけでつけて役に入っていたんですが、アイーダの場合、体の中から湧き出てくるような感じなんです。衣装を着て舞台に立つだけで当時の王室の様子や食事の風景が浮かんでくるんです(笑)」
黒人王女の設定のため、顔や腕には黒いドーランを塗り、髪もドレッドに編みあげて登場する濱田。実は髪の半分は地毛で、開演前、毎日1時間半かけて編みあげている。その間、毎日じっくりと役に入っていくのだそう。
奴隷の身でありながら敵国の将軍ラダメスと恋に落ちたアイーダは死を覚悟するが、
「実は私もアイーダ同様恋愛体質なんですよ、めちゃくちゃ。一目惚れはないですけどね。でも現実を見たら、絶対仕事を選びます(笑)」
強くひるまぬアイーダは、「自分で運命を変えればいい」と果敢に決断を下していく。
「私はアイーダみたいに即断はできないんですよね。間違いを犯したくないんですよ。でも昨日は決断しましたけど。ヘトヘトだったんだけど、マッサージに行くって。やっぱり行って良かったです(笑)」
今年の初め体調を崩したこともあり、トレーニングは怠れない、とうなずく。最近はヨガもしている、とニッコリ。
「稽古で『人は迷いながら人生を生きる』というセリフがあって、今日その言葉が自分の中に改めてすっと入ってきて。本当にそうだなと。シンプルに生きたほうがいいですよね。必死に前進していくアイーダの人生観を噛みしめながら、毎日励んでいます」
初日前日のゲネプロではもはやアイーダになりきっていた濱田。「人は迷いながら」と口にしながら、その頬を涙がひと筋伝っていた。6年前の初演時より、確実にひとまわりもふた、まわりも大きくなっていた。
「この作品はお客様と一緒に“空気” をつくり出していく作品。お客さんを前にすると、信頼を裏切ることはできないなってスイッチ入っちゃうんです。以前はお客様にエネルギーを奪われる感覚だったんですが、今回は与えられる自信があります」
彼女の心の震えは、確実に観客に伝わっている。今年いちばんの感動がそこにはあった。
濱田めぐみ
8 月2日生まれ、福岡県北九州市出身。‘95年劇団四季のオーデションに3回目で合格。
『美女と野獣』『ライオンキング』『アイ―ダ』のディズニーミュージカル3作品ですべてヒロインを演じた唯一の女優。
『アイ―ダ』
東京・電通四季劇場[海]にて、只今絶賛上演中!
お問い合わせは劇団四季予約センター℡0120-489444
(午前10時~午後8時)まで。