栩原楽人 主演を務めた映画『ナナとカオル』は青春純愛SM物語!?
映画『ナナとカオル』は、隣どうしに住む幼馴染の高校生ナナとカオルを主人公にした恋愛映画。
ふとしたことからお互いの性癖を確認し合い、2人だけの秘密のSMレッスンが始まります。
原作は『ヤングアニマル』誌でされた大人気コミックで、
連載開始当初から“高校生のSMレッスン”というセンセーショナルな内容に
話題騒然となりました。
そして主人公カオルを演じるのが栩原楽人さん。
昨年の大河ドラマ『龍馬伝』で沖田総司を演じたのは記憶に新しいところ。
イメージをガラリと変えカオルを演じきった栩原さんに映画のお話を中心にうかがってきました。
とちはら・らくと★
89 年10月19日生まれ。東京都出身。00年愛の劇場『ママまっしぐら!』で子役デビュー。おもな代表作に、TVドラマ『仮面ライダー響鬼』、大河ドラマ『龍馬伝』、映画『純情』などがある。舞台、映画と幅広く活躍している若手俳優。
映画『ナナとカオル』
3月12日(土)より渋谷ユーロスペースにてレイトショー
3月29日(火)DVD&ブルーレイ発売
――『ナナとカオル』は人気コミックが原作ですが、お読みになりましたか?
「はい、一番最初にお話をいただいたときに漫画喫茶へ行って読みました」
――感想はいかがでした?
「ハードな内容だったので『これはすごいな』と思いました。あとはカオルという役は自分がこれまでやったことのないタイプだったので、ちゃんと考えて役づくりをしないといけないと思いました」
――台本を読んだあとの感想は?
「最初にSM純愛物語と聞いていて、SMをよくわかっていない僕が想像するには、普通の恋愛では飽き足らず過激な恋愛を求めたのかなと思ったんですけど、そうじゃなかったんですね。結局カオルは不器用で、自分の愛情を人にストレートに表現するのが下手なんです。それが、SMの世界にはいることで素直に感情表現ができる。不器用という点では自分に近いものがあるなと思いました」
――監督からアドバイスされたことは何かありますか?
「思いっきりコミカルにやったほうがいいのかなと思って監督にそう話したら、純粋にマジメに恋愛をしてほしいと言われました」
――カオルと似ている部分はありましたか?
「性格的にはカオルと近い部分が多いと思います。僕も実家に住んでいるんですけど母親に素直に感謝できないし、好きな人に好きっていうのもけっこう照れくさいところがある。そういう部分はカオルと同じだと思います」
――改めて完成作を見ての感想は?
「おもしろかったです。監督とも話したんですけど、叙情的というか、すごく、ふたりがピュアに見えて、これを見た人はきっとSMのイメージが変わると思いました」
――今回、テーマがSMのラブコメディでしたけど、演じていてSとMの気持ちがわかるような気がしましたか?
「そうですね、イメージが変わりました。すごく純粋なものだと。もっと、エロを追求していくイメージがあったんですけどひとつの愛情表現の形なんだなと」
――緊縛シーンがありましたけど、かなり練習されたんですか?
「はい。衣装あわせのときに緊縛師の方が来てくださって、そのときに教えていただきました。すごくおもしろかったのは、カオルはSだからずっと突き放すような感じでやればいいのかなと思ったら、『飴と鞭だから最初は抱き寄せるように巻いて、そのあとで突き放す』とか、そういう興味深いお話を聞かせてもらっておもしろかったです」
――かなり練習されたんでしょうか?
「はい。スタッフさんや、家に帰ってイスを相手に練習したり。女性を相手にしなきゃいけないんですけど、さすがに母親を相手にするのは気まずいしなぁと(笑)」
――今も覚えてますか?
「はい。撮影からそんなに経っていないので覚えています。特技にできればいいですね(笑)」
――突然ですが、栩原さんはSですか? Mですか?
「僕は昔はSだと思っていたんですけど、いま、模索中です(笑)。縛っているシーンを撮っているとき、『自分もこう縛られていたらもしかしてうれしいのかな?』って思ったり、ちょっとわからないです」
――カオルの幼なじみであり恋のお相手役ナナに永瀬麻帆さんが演じられていました。むずかしい役をセクシーにかわいらしく演じられていました。共演しての感想はいかがですか?
「永瀬さんは計り知れないものがあって、最初は緊張しているのかな? と思ったらカメラの前で堂々としていたり、いまだに何者なんだろう? っていう感じはあります(笑)。僕が提案する、『もっとこうしたらおもしろいんじゃない?』という話を一生懸命に聞いてくれて、それに対して意見をくれたり、一緒にディスカッションして撮影にのぞんだので楽しかったです」
――刺激を受ける部分はありましたか?
「僕は頭でいろいろ考えてしまうタイプなんですけど、自分の感じたこと、直感や本能を大事にする点などは見習わないといけない思いました」
――栩原さんは子役から活躍されていますが芸能にはいったきっかけは何だったのでしょうか?
「僕はもともとすごく内向的で、友達もすごく少なくて、劇団に入れば変わるんじゃないかと母親が思ったらしく、自分の意思とは無関係でした。ですから、気がついたらやっていたという感じです」
――性格を変えるために劇団に入ってみた…という方、これまでにも少なからずいましたよ。今もまだご自分のこと内向的だと思います?
「思います(笑)」
――もう10年近く芸能の世界にいらっしゃいますが今後の目標をお聞かせください。
「どんどん自分を出していきたいですね。うまい下手にとらわれないで、本当に自分がその役になりきれる、そういう俳優になりたいですね。子役のころは言われたことをやっていただけで、自分で意思を持って仕事をするようになったのは、ここ、1,2年だと思います」
――そのきっかけに何かあったんですか?
「今のマネージャーとの出会いが一番大きいですね。演技に対する感想を言われて、そこから仕事へ対する取り組み方が変わりました」
――いつかマネージャーさんをギャフンと言わせてやる、みたいな?
「それはいつも思っています(笑)」
――挑戦してみたい役はありますか?
「どこか欠点がある役をやりたいですね。そういう意味で今回のカオルは人間的で欠点だらけですごく好きな役でした。今後は映画、舞台、テレビとジャンル問わず頑張っていきたいです。まだ、わからないことだらけなので、なんでもやっていきたいですね」
――では最後に映画『ナナとカオル』のPRをお願いします。
「この映画を見たらSMのイメージが壊れるし、SMに対する考え方も変わると思います。恋愛に慣れていない2人の高校生が不器用に近づいていく姿を見て、キュンとしてもらえると思うので、それを楽しんでいただけたらと思います」