ダイアモンド✡ユカイ カバーアルバム『Respect』で昭和の名曲を熱唱

image

*プロフィール:

現在、栃木県佐野市在住。「佐野ブランド大使」「とちぎ未来大使」も務めている。

1962年3月12日生まれ、東京都出身。1986年、ロックバンド『RED
WARRIORS』のボーカルとしてデビュー。1989年解散後、ダイアモンド✡ユカイの名でソロ活動を開始。近年は、ロックスピリットあふれる独特の
トークセンスで、バラエティ番組でも活躍中。また3児の子を持つ父として、昨年、育児雑誌8誌が選出する『第4回ペアレンティングアワード』のパパ部門を
受賞。

CD『Respect』

image

ワーナーミュージック・ジャパンより、3,150円(税込み)で発売中
(収録曲)
01.悲しい色やね
02.涙をふいて
03.君をのせて
04.青い瞳のステラ、1962年夏…
05.スローなブギにしてくれ
06.人間の証明のテーマ
07.紅い花
08.もうひとつの土曜日
09.横浜ホンキートンク・ブルース
10.情熱の薔薇
11.夜霧よ今夜も有難う
12.SWEET MEMORIES (Duet with YOU)(* BONUS TRACK)

 

7月25日、アルバム『Respect』をリリースしたダイアモンド✡ユカイ。ミュージシャンとしてじつに3年半ぶりとなるアルバムは、「男が泣ける男の歌』をテーマにしたカバー作品。上田正樹の『悲しい色やね』、三好鉄生の『涙をふいて』など懐かしい昭和の名曲が全12曲(ボーナストラックを含む)収録された。今回は、ダイアモンドユカイ本人に、カバー曲に挑戦した心境や、選曲の理由などを解説してもらった。コレを読めば、男の名曲の数々が、さらに貴方の胸に深く刻まれること必至だ!

-ほかの歌手の歌をカバーした作品を出すというのは初めてですか?
そう、だけど、俺たちの世代にとって、他人の曲をコピーして、自分のものにしてライブで歌うのは当たり前のことだったからね。

-今回のカバーアルバムの話がきたとき、どんな心境でしたか?
近ごろ、バラエティー番組に出ることが多くなったんで、AKBの女の子たちに『ユカイさんは、歌も歌うんですね?』って言われちゃって(笑)。いやいや、俺はもともとロックシンガーなんだよ……とか思っていたときに、このアルバムの話がきたんだ。たしかに、ここ数年、音楽活動は地味だったんでね、しょうがないんだけど。プロデューサーから、「ユカイでカバーアルバムを作ってみたい」って言ってもらって。いま、女の人の歌を男が歌うみたいな、そういった風潮が巷に多いじゃない? 今の時代、歌でも何でも、中性的になっているんだよなあ。でも、俺たちの世代はもっと男臭くってさ、すてきな男たちがいっぱいいたんだよ。そういう話の中で、今回は「男が泣ける男の歌」を集めたんだよね。

-楽曲の選曲でこだわったことはありますか?
選曲に関しては、カバーだしね、曲を作って、自分のこだわりでぎちぎちにやっていくんじゃなくてさ。プロデューサーも含めてスタッフの人たちと楽しくやりたいなあと思ってね。だから、いろんな人の意見を聞きながら、世代的には今の40代、50代、60代が聴いていた曲にした。だから、実は自分でも歌ったことがなかったような曲も歌ってるんだよ。浜田省吾さんの曲なんて俺、知らなかったからね。俺の世代はみんな知ってるらしいんだけど、俺はデビュー直前で全国ライブハウスツアーしてたからさ。

-収録曲を1曲目から解説してもらいたいんですけど、まず、上田正樹さんの『悲しい色やね』は、どういう経緯で選ばれ、収録されたのですか?
これはね、リストに書かれたたくさんの候補曲の中の1つだったんだ。でも、上田正樹さんは、昔から俺が一番好きなシンガーなんだよね。上田さんの歌は完璧だし、あえてカバーするのは難しいなあって思ってね、自分から候補に挙げなかったんだ。最後まで抵抗したんだけど、プロデューサーやスタッフが、「ぜひ、歌ってほしい」って言うもんだから、しょうがなく決断したっていうか。

-上田正樹さんのどういうところを尊敬していたんですか?
だって、やっぱりパーフェクトじゃない? サウストゥサウスの頃からあの声量とさ、ブルージーなリズム&ブルースっていうのかな。サム・クックとか好きな人だったらさ、あんなふうに歌いこなせるシンガーは日本にいなかった。『悲しい色やね』にしてもさ、すごく名曲で、「最高の歌だな」って思ってたんだよね。

-歌った感想は?
やっぱり、いい曲だなぁって思った。歌詞も含めてね、大阪のことを歌っているけれど、俺自身、自分の青春時代を思い出してジンときちゃった。実はこの歌は、歌入れをしていたとき、プロデューサーもエンジニアもみんな泣いちゃったんだよ。男はみんな、こういう歌に共感しちゃう、きっとそれぞれの悲しい色やねがあるんだよね。

-まさしく、「男が泣ける男の歌」ですね。
そうなんだよ。それで、あらためて今回、この曲をカバーしてよかったなあって思った。

-カバーをやる意味が見えましたか?
そうだね。まあ、歌うとなったら尊敬する上田正樹もライバルだからね(笑)。カバーってさ、コピーとは違うから、宮本武蔵じゃないけど、勝てない闘いはしたくないわけよ。もちろん、上田さんに勝ったなんて思ってないんだけどさ、せめてキーは、俺のものにさせてもらった。

-『悲しい色やね』を1曲目にしたのは勝負でしたね。
最初は別の曲がトップだったんだ。でも、俺とプロデューサーとみんなで、「これを1発目にしようよ」という意見が一致して、1曲目から勝負! いきなりストレート投げちゃったよね。

-2曲目の『涙をふいて』(三好鉄生)を選んだ理由は?
プロデューサーの川原さんに脱帽だ。もちろん知っていたけど、正直忘れていた。で、歌ってみたら、今の俺にピッタシの曲だった。すごく今の時代にも通じるのかなあ。カバーっていうのは、あの時代のアレンジじゃなくて、今、再び歌うからこそ、今の時代の空気感に曲を塗り替えなきゃいけない。そういう意味では、ダイアモンドユカイの『涙をふいて』ができたかなって思ったね。

-今回の収録曲11曲のなかで、ユカイさんが、歌いたいと思った曲は?
『横浜ホンキートンク・ブルース』かなあ。これは松田優作さんや原田芳雄さんも歌っていて、一番、男臭い歌だと思うんだ。松田優作さんのやつも原田芳雄さんのやつも聴いたけどさ、二人とも基本的には役者なわけじゃん。じゃあ、ダイアモンド✡ユカイの『横浜ホンキートンク・ブルース』を、もうちょっとブルージーで、自分で言うのはなんだけどもうちょっと音楽寄りかな、そういうのをやってみようかなってね。ハーモニカも弾かせてもらったんだけど、『ホンキートンク』って言うとさ、大好きなローリング・ストーンズの『Honky Tonk Women』が頭にグッときちゃうんだけどね。このラフなブルースのシングを楽しんでほしいね。

-ほかには?
俺が自分の歌いたい曲の一つは、『人間の証明のテーマ』かな。これも、松田優作さんが出てた映画の曲だけど、ジョー山中さんが歌っててね。すごく印象に残ってる映画のシーンがあるんだ。西條八十の帽子が山から落ちて、「母さん、ぼくの帽子はいったいどこに行ったんでしょう?」っていう、あのシーンと、あの歌だけがずっと俺の中で走馬灯のように回ってる。中学生だったか、高校生だったかは覚えてないけど、俺の青春時代だ。ジョー山中さんは尊敬するシンガーだしね。男が泣ける男の歌で、「これやろう、あれやろう」って言ってるうちに、結構、亡くなった人が多いんで、ビックリしちゃって。松田優作さんも、原田芳雄さん、ジョー山中さん、『青い瞳のステラ』の柳ジョージさん、それと『スローなブギにしてくれ』は、古尾谷雅人さんが主演していた映画で、すごく仲良かったんだ。そんな古尾谷さんも亡くなっちゃったし、そういう意味も込めて、歌いたかった。思い出しちゃってさ。

-歌ってみて、あらためてカバーを歌うことの面白さとか、歌い手としてプラスになったこととか、歌い終わってみての感想はありますか?
自分は、作り手でもあるわけだからさ、作り手的に言うとカバーっていうのは他人の曲なわけだから無責任なところもあるわけだよ。だけどその反面、その曲たちはみんなの思い入れの曲だったりするわけだから、それを汚しちゃいけないっていう気持ちもあるし、そうかと言ってそれをなぞるだけじゃカバーとは言えない。モノマネじゃないからね。だから、歌い手としては、オリジナルの人たちに対して、つねに「vs.」な気持ちで臨んだ。それと今回、カバーをやって一番感じたのは、少なからず、いろんな人の心に一度は届いた曲なので、やっぱりよくできてるな、いい曲だなってね。「歌わせていただいた」という気持ちになったよね。作った方たちに対して、「ありがとう」ってね。それに、ヒット曲って、やっぱり何かあるよね、サムシングが。どの曲もそうだったね。「この曲は簡単なんじゃないかな」って思ってた曲ほど、実は難しかったし、そういう発見もありながら、「たかが歌なんだけど、されど歌だった」っていう。それがこのカバーを歌った感想かな。

-タイトルを『Respect』にしたのは、そういう気持ちの表れですか?
そういうのすべてにおいて、『Respect』だね。もちろん歌い手に対してもそうだけど、その時代の世代に対してもそうだし、全部、昭和の歌だから、昭和に対する想いもある。あとは、その曲が本来持つパワーに対してのrespectかな。それをすごく感じたね。

-男性歌手のなかに、唯一の女性歌手、ちあきなみさんの『紅い花』が入っていますよね。この曲はご存知だったんですか?
もちろん! この作品は、ちあきなおみさんの最後のシングルなのかな? YouTubeで見たら、作った杉本眞人さん本人が歌っている映像があってさ、いい歌なんだよね。この曲を歌ってみたいって言ったら、最初はみんなピンとこなかったみたいなんだけど。歌ってみたら、「男の歌だったんだな」みたいなね。これ、自分にとってはRED WARRIORSのことを歌ってるんだよ。

-ボーナストラックではありますが、松田聖子さんの『SWEET MEMORIES』を入れようと思った理由は?
image事務所がサンミュージックなんで、1曲ぐらいサンミュージックの楽曲やろうよっていうことでね。それなら、この曲が1番いいって言うスタッフの意見で決めた。今回のアルバムは民主主義なんで(笑)。でも、女性の歌だし、「男が泣ける男の歌」っていうテーマから逸れちゃうじゃない。だったら、デュエットにしたら面白いんじゃないかなあということで、YOUちゃんと歌うことにしたんだ。たまたまYOUちゃんの番組にゲストで行ったとき、なんだか昔付き合ってた女に久しぶりに会ったみたいで面白かったんだよね。「そういえば、YOUは、昔歌ってたよな」と思って、「一緒に歌わない?」って誘って、やることになった。ボーナストラックは、新しい形の『SWEET MEMORIES』になった。デュエットをやったらすごくハマったと思うんだ。11曲そのままだと、ちょっと男臭すぎるさ、最後にこういうのがあってもいいのかなって。

-今後もカバーをまたやってもいいかなと思いますか?
今は誰もがカバーを出してるしね。ただ今回、ダイアモンド✡ユカイ色のカバーアルバムを出せたっていうことはすごくよかった。選曲に関しては、正直、「こんなマニアックな曲でいいのかなぁ?」とも思ったんだけど、果たして『横浜ホンキートンク・ブルース』を知っている人は何人いるんだろう? そういう不安もないわけじゃない。だけど、人によっては「いい選曲だね」なんて言ってくれるんで、まあ、新しいカバーアルバムの形としてはよかったんじゃないかな。

-当初の、AKBの女の子たちに「俺は歌手なんだよ」ってところは見せられましたか?
どうかなあ。AKBの世代の人たちは俺がお笑い芸人だと思ってる人が多いから。

-本当ですか?
ホントもなにも世間の人たちはみんな、「ダイアモンド✡ユカイだ」「ギラッチ!」って言って、指さすからね(笑)。

-お子さんたちは、お父さんが何をしてる人か分かっているんですか?
まだ2歳だからね、でも、娘のニーチェは、もう分かってる感じだね。「パパはダイアモンドユカイ」って言ってるから。

-最後に、このアルバムを聴く方にメッセージをお願いします。
こういう素敵な昭和の歌たちがあったってことを思い出して欲しい。今、日本の男たちの中に眠っているダンディズムに灯をつけたいね(笑)。歌は自分でいうのもなんなんだけど、最高の出来だな。男が最高にカッコよかった時代の、男が泣ける男の歌を、ぜひドライブやレジャーのお供などにもよろしくRock’n Roll!

 

関連カテゴリー: