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「役柄のために太ったのに、どこかに『工藤夕貴激太り』『どうしてあんなに太った?』みたいに書かれていて!」
苦笑いしながら話すのは、工藤夕貴。体重を増やしてまで挑んだ映画『カラカラ』で、夫の浮気やDVに悩む主婦、純子を演じた。

くどう・ゆうき★

東京都生まれ。スカウトを機にデビューし、映画『逆噴射家族』(84年)、『台風クラブ』(85年)などで女優として高い評価を受ける。
代表作に映画『ミステリートレイン』(89年)、『ヒマラヤ杉に降る雪』(00年)、『ラッシュ・アワー3』(07年)がある。静岡県にある自宅近くで自
然派カフェ『カフェ・ナチュレ』をプロデュースしている。

映画『カラカラ』

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監督・脚本/クロード・ガニオン
1月19日(土)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー
(C) 2012 KARAKARA PARTNERS & ZUNO FILMS

 

――今回、工藤さんが演じた純子という主婦は、残りの人生を静かに生きたいと思うカナダ人男性のピエールにトラブルを持ち込む、騒々しい一面がある女性でした。彼女を演じるにあたって、どのように分析して演じられましたか?
image「純子は、溺れかけていたときにピエールという流木に出会った感覚なんだろうなと。女性だったらある程度の年齢になると、正しくありたい自分と正しくあり続けられない自分の葛藤って出てくると思うんです。私にとっては、離婚がその時期にあたりました。女性として正しく生きたい自分と、夢を追いかけていきたい自分の狭間で揺れ動いて、結局、夢を追いかけるほうを選んだ。純子もそういう状態に近かったのかなと思うんですよね。自分をごまかしながらぎりぎりのところで生きてきている中で、ピエールという大きな流木に出会い、自分を守るために無我夢中でしがみついてしまった。たったひとつの希望だったというか」

――ピエールとの出会いによって、純子のファッションや見た目がどんどん変化していきましたね。
「この映画の撮影時は、今より6㌔太っているんですけど、役柄のために太ったのに、何かに『工藤夕貴激太り』『なんであんなに太ったんだ?』みたいなことを書かれていて、ショックで(苦笑)。夫にも顧みられなくなった女性という役なので、ちょっと太目にして、主婦に見えるような洋服を着て、髪型も束ねるだけで、普通の奥さんというキャラクターをつくりました。だから(ロケで)沖縄にいるときは、何かにかこつけて激食いをしていました。帰ってきてから体調が悪くなりましたけど(笑)」

――完成作をご覧になった感想はいかがでしたか?
「好きな台本だったので、観る前はドキドキしていました。台本があまりに好きだと作品を客観的に観られないところがあるんですよね。完成した作品を観て、自分の中の作品と違う雰囲気になっていて、すごくショックだったことが数度あって」

――今回に関してはいかがでしたか?
「台本と遜色ないくらいに面白かったですね。私、自分が出た映画を2回観ることがないんですけど、じつはこの作品は続けて観ているので、とても好きな映画なんだと思いました」

――モントリオール世界映画祭では「世界に開かれた視点賞」と「観客賞(カナダ長編部門)」の2冠に輝きました。
image「本当にうれしいです。現地に行っていて、人気が高いとは聞いていて、閉幕式の前々日に帰る予定だったんですけど、賞が獲れるかもしれないという噂が入ってきて、あとで東京で受賞を聞くのはすごくくやしいなと思い、延期して授賞式までいることにしたんです」

――どういう部分が評価されたとお考えですか?
「扱っている題材がものすごくヘビーで、シリアスになりがちなのに、それをシチュエーションコメディーのように、自然体のまま軽いタッチで描いている作品って、あまりないと思うんですよね。あとは、あきらめることではなく生き続けること。どういう風に人生を終えるのかではなくて、どう続けていくのか。それを考え続けるのが幸せの秘訣なんだよっていうことを、沖縄の自然とともに教えてくれる映画です」

――工藤さんご自身、沖縄に行かれたことはこれまでにありますか?
「はい、大好きなところです。撮影は、私にとっては、ワークショップを兼ねたバケーションという感覚でした。監督の撮り方もドキュメンタリー作品のような撮り方で、演技よりも普段の笑顔が出ているような、そのままの様子を求めてくる監督だったので」

――映画とは話がそれてしまいますが、先ほど離婚のお話が出てきました。10年に再婚をされていますが、旦那さまとのなれそめを教えていただければと。
「不思議な組み合わせで、元刑事だったんです。迫力があって。私、50代からアクションができる女優でありたいと思っていて、ジャッキー・チェンさんの映画に出たこともあるんですけど、ずっと空手を習っていたんです。それで道場を探していて、紹介してもらったのが、夫がいた同好会だったんです。男気のある、今まで見たことのないタイプ。初デートで『結婚しよう』といわれ、『え?』という感じで、知らないうちに嵐に巻き込まれていて、1年半後には再婚していました。不思議な出会いでした」

――50代からアクションができる女優さんになりたい?
image「はい。すごくやりたいんですけど、なかなかそういう風に見られないんですよ。『少林サッカー』のような映画も好きで、ああいう作品に出てみたいです。50代、60代、70代になったとき、普通のおばあさんだと思っていたら、じつはものすごく強かったっていうのは面白いですよね? そんな自分を目指していこうと思います」

――現在、静岡県で自給自足の生活をされていますよね。プロデュースしているカフェもすごく人気だとか。
「食に興味を持ったのにはきっかけがあって。29歳のときに受けたある検査の結果から、『病気を予防したかったら自分で体を守るしかない』という考えになって、外国にいるときにセミナーなどに行って、あらゆる勉強をしました。今、そこから学んだ工藤式というダイエット法を見つけて。いずれは本にまとめたいと思っているんです」

――では最後に、作品のPRをお願いします。
「生きることをあきらめないで、幸せを探そうとする一生懸命さって、いくつになっても女性をきれいにしてくれると思います。再スタートに年齢は関係なく、いつ始めても遅くありません。美しい風景とともにそれを教えてくれる作品なので、ぜひ見にきてほしいなと思います」

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