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デビューから約20年。中性的な魅力で注目を浴び続けた彼も38歳。落ち着ついてはいるが、カメラを向けると、小悪魔的な雰囲気を醸し出し、一気に魅力が溢れ出す。
近年、精力的に演劇活動を続けているいしだ壱成が、舞台『ディストピア』に出演する。

いしだ・いっせい★

74年12月7日生まれ、東京都出身。92年にドラマ『悲しいほどお天気』(フジテレビ系)でデビュー。おもな出演作にテレビドラマ
『未成年』『聖者の行進』(ともにTBS系)、舞台『毛皮のマリー』などがある。9月中旬より公開の映画『朝日のあたる家』に出演。

舞台 角角ストロガのフ第九回公演『ディストピア』

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作・演出/角田ルミ 
8月22日(木)~26日(月)、東京・吉祥寺シアターにて。
問J-Stage Navi (03-5957-5500)

 

――稽古が始まって1カ月が経過しているそうですが、現在、手ごたえのほうは?
「(作・演出の)角田(ルミ)さんの作品には独特な部分があって。同時に複数のシーンが進行して、そのシーンがときどきリンクしたりするんです。自分にとっては経験のない頭の使い方で、いい意味で脳みそが疲れるというか。稽古が終わると『今日も頭を使ったなー』みたいな感じになります」

――同時に複数のシーンが進行……。想像がつきません。
image「僕も、台本を読んだとき、場面転換が多いし、早いし、どうやって舞台上でこの台本を表現するのだろうかと気になりました。それで、過去の作品のDVDを拝見して。『あ、こういうことだったんだ』って」

――角田さんから送られてきた台本を読んで、出演を決められたそうですが、その決め手となった部分はどういうところですか。
「まず『ディストピア』というタイトル。『ユートピア』の逆の意味なんですが、そのタイトルに惹かれました。台本を読んでみると、善と悪が見事にひっくり返っていて。個人的には、今の日本を象徴しているような気がしました。自分がよかれと思ってやったことが、相手に不快感を抱かせることもある」

――台本を読んで、ずばりテーマは何だと思われました?
「善と悪、陰と陽、プラスとマイナス。かといって社会派というわけでもなく、猟奇的なホラーでもない。ダークな描き方はされていますけど、かなりエンターテインメントに近い感じに仕上がっていて、ポップでもあるし、見やすいと思います」

――角田さんは、いしださんに尊敬の念を持っていて、出演をオファーされたと先ほど聞きました。率直な感想をお聞かせください。
「ちょっと照れてしまったんですけど、演出家と役者って、妙な恋人関係みたいなところがあって。『相手はこうしたいんだろうな、ああしたいんだろうな』と、思いを巡らせるところがあるんです。家に帰って、台本を読んで、彼女はどうしたいんだろう? って」

――女性の若手演出家である、角田さんのご感想は?
「女性の演出家の方って、怖い方が多いんですよ。でも、角田さんは優しくて。ベテランの演出家でも『任せた』ということがあるんですけれど、それが自分の中ではいちばん困ってしまう注文で。でも彼女の場合は、そういうことはいっさいなく、しっかりと提示してくれる」

――現在、稽古も佳境にはいっていますが、1日、どのくらい稽古をされているんでしょうか?
「10時間近くとか。今年の夏は“稽古の夏”ですね。花火大会の音を遠くに聞きながら」

――いしださんは、ここ数年、舞台に数多く出演されていますけど、舞台の魅力はどういうところにあるとお考えですか?
image「ライブ感はありますよね。あるはずの小道具がなかったとか、誰かのセリフが飛んで妙な間になったりとか、そういうのは気にならないんです。それをどうカバーしていくか、というところに面白みがあると思っていて。あと、自分がお芝居しているとき、笑い声や泣き声が聞こえたときなど、充足感はあります。僕、目がよくて、遠くにいるお客さんでも見えてしまうんですよ。寝ていたり、あくびをされたりとか、そういうものも見えてしまうんです。そういうときは、袖に下がったところで、ほかの役者たちの気分を上げたりします。そういう、お客さんとのキャッチボールは、舞台ならではですよね」

――今後、挑戦したい役はありますか?
「『こういう役しかやらない』というタイプではないと自分で思っていて。これまでにもいろいろな幅の役をやらせていただいたんですけど、それをさらに広げたいです。『今度は何の役をやるの?』って、期待をしてもらえる役者が理想ですね」

――では最後に作品のPRをお願いします。
「どこか現実離れした作品なので、遊園地に行くような感覚で見に来ていただけたら。その中で、テーマを生々しく、テンポよく展開していきます。暑い毎日ですが、ぞわっとするにはいいと思いますよ」

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