79年より放送されている、新春ワイド時代劇(テレビ東京系)。14年の作品は、徳川家康が関が原の戦いで暗殺された、という発想をもとに描かれた『影武者 徳川家康』(隆慶一郎原作)だ。出演する高橋光臣の、時代劇に対する想いは強い。
たかはし・みつおみ★
82年3月10日生まれ、大阪府出身。05年に俳優デビュー。これまでの作品に、ドラマ『轟轟戦隊ボウケンジャー』、『科捜研の女』
シリーズ(ともにテレビ朝日系)、『実験刑事トトリ』(NHK総合)などがある。14年1月7日より、舞台『真田十勇士』(青山劇場)に出演する。
テレビ東京開局50周年特別企画
新春ワイド時代劇『影武者 徳川家康』
2014年1月2日(木)夜6時~、テレビ東京系にて一挙5時間放送
――34年の歴史を持つ『新春ワイド時代劇』ですが、出演が決まったときのお気持ちをお聞かせください。
「とにかく驚きました。時代劇に出演したいという夢がずっとあって、このドラマの原作も読んでいたんです。『映像にするのなら俳優は誰がいいだろう』って、自分の頭の中で配役を考えていて」
――甲斐の六郎は、高橋さんが挑戦したい役でもあったのですか?
「立ち回りのほか、乗馬などのアクションシーンもある。そういうことをずっとやりたいと思っていて、いつかそういう役が来たときのためにと、稽古をしていたんです。だから、まさか自分が甲斐の六郎をやれるなんて! と思いました」
――甲斐の六郎は、どういう性格の人物なんですか?
「徳川家康の暗殺実行犯で、ドラマの冒頭から登場します。島左近(高橋英樹)と主従関係にあります。僕が想像するに、彼は少しシャイで、人見知りの部分がある。でも、気持ちを許した相手にはとことんついていき、命を投げ出してもいいと思っている男です。真面目でまっすぐな人というか」
――高橋さんと甲斐の六郎との共通点はありますか? 性格面で。
「共通点というより、彼のような生き方もかっこいいなと思いました。男の理想像みたいな部分がありますね。人生では、命がけで闘うようなときがくる。そのときにこそ、真の人となりが出ると思うんですが、甲斐の六郎にはそういう部分に憧れます」
――今回、主演の家康役に西田敏行さん、側室役に観月ありささんと、錚々たるメンバーが出演されています。共演の感想をお聞かせください。
「感動しっぱなしです。西田さんは、いるだけで現場を温かい雰囲気に包む方で。観月さんとは以前にお会いしたことがあるのですが、そのとき、僕はエキストラでした。スタジオの端で観ていた僕が、いっしょにお芝居でセリフのやりとりをするとは、夢の中にいるような感じでした」
――島左近役は、時代劇の大御所・高橋英樹さんです。何かお話をされましたか。
「稽古を受けている先生から『いつか(高橋)英樹さんと共演する機会があったら、日本一のチャンバラを教えてもらってきなさい』と言われていたので、今回の共演は、すごくうれしかったです。いつかそういう日が来れば……と思っていたものが、実現したんですから。いろいろなお話を聞かせてもらいました」
――時代劇のご経験はこれまでにもあったのでしょうか。
「あまり、数は多くはないですけれど。もともと映画『ラストサムライ』を見て役者になりたいと思ったので、時代劇に出演できる機会に恵まれたらいいなと思っていました。僕は大学までラグビーをしていたんですが、それを卒業して、一生をかけてやりたいものは何かというのを探していたんです。そのとき偶然、見た映画が『ラストサムライ』でした。『これだ!』と思い、役者の道を目指したんです」
――『ラストサムライ』では、どのシーンがとくに印象に残っていますか。
「ラストの桜を見るシーンは、すごくかっこいいなと。渡辺謙さんとトム・クルーズが出てくるんです。渡辺謙さんは病気をされたあと、あのような大作に出演されて、そういう背景を含め、僕の中でいろいろな想いが溢れ出てきました。ある実業家の言葉に『ビリーブ ユア トリハダ』というのがあって、『自分の受けた感動を信じなくて、何を信じるんだ』というような意味なんですが、『ラストサムライ』を見たのが、その言葉を知った直後だったこともあり、感動を受けたそのままの状態で、次の日には役者の事務所に入っていました」
――高橋さんというと、NHKの連続テレビ小説『梅ちゃん先生』の松岡役を思い出します。ドラマに出演されてから、環境が変化したのではないでしょうか。
「もう、180度変わりました。スイッチが入ったというか。役のポジションが大きくなり、セリフも多くなりました。本当にターニングポイントでしたね」
――14年の抱負をお聞かせください。
「13年より、よい年にする。前の年よりいい1年になればいいなと毎年、思っているんです」
――最後に、作品のPRをお願いします。
「日本を代表する文化や伝統が、時代劇にはあります。年配の方にも若い方にも楽しめる、痛快な新春らしい作品だと思います!」